第三章
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「残念だけれどね」
「捕まらなかったのね」
「一匹もね。しかも何処からかガサゴソって音はするし」
「それで、なのね」
「会社に抗議したのよ」
そして電話でのやり取りのことを話した。おかずのハンバーグと味噌汁、レタスとキャベツとトマトのサラダそれに野菜の酢漬けを食べながら。
「それで出て来た人の名前も確認して」
「何かあったら」
「そう、その人の名前出してくれって言われたわ」
「それでその人の名前何ていうの?」
陽子は母に酢漬けを食べつつ尋ねた。
「一体」
「ええとね」
富子は服のポケットに入れていたメモ用紙を見て確認した、その名前はというと。
「八条義造さんよ、若い男の人だったわ」
「えっ、八条って」
その名前を聞いてだ、陽子は瞬時にはっとした。
そのうえでだ、こう母に言ったのだった。
「私の通ってる学校って」
「ああ、八条学園だったわねあんた達」
「私もお兄ちゃんもね」
「それで企業がね」
「確かあのゴキブリjホイホイは八条製薬のよね」
「ええ、そうよ」
その通りだとだ、富子はすぐに答えた。
「だからそこに抗議の電話入れたのよ」
「あの、ひょっとして」
ここまで聞いてだ、陽子は眉を顰めさせて母に告げた。
「電話の相手の人社長さんなんじゃ」
「社長さんって」
「だから。八条製薬の社長さんよ」
「まさか」
「だって八条製薬って八条グループの企業よ」
「あんたの学園も経営してる」
「そう、世界屈指の企業グループでね」
それで、というのだ。
「八条家がね」
「八条グループの経営家なのよね」
「そうよ、だからね」
それで、というのだ。
「だから出て来たのは」
「社長さんなの」
「ちょっと待ってね」
陽子はすぐに自分のスマートフォンを取り出した、それで素早くネットで検索をしてそのうえで母に厳しい顔で言った。
「やっぱりね」
「社長さんだったの?」
「ええ、八条製薬のね」
その彼はというのだ。
「名前で検索したら八条製薬が出て来てね」
「それでなのね」
「そこに代表取締役でお名前出てたわ」
「代表取締役で」
「社長さんよ」
紛れもなく、というのだ。
「しっかりサイトで書かれてたら」
「お母さんもそのサイト見て抗議したけれど」
「お母さん電話番号しか書くにしてなかったでしょ」
「ええ」
「そこまで見ていなかったから」
わからなかったというのだ。
「けれどね」
「お母さんが抗議した人は」
「社長さんだったのよ」
「あんたの学校の理事長さんの一族の人だったのね」
「そうよ、またえらい人に言ったわね」
「まずいかしら」
「ううん、まあね」
このことについてだ、陽子は富子に冷静に述べた。
「別にね」
「別に?」
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