第二章
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「食べたらそれでいいからね」
「ううん、けrどね」
「今回はなのね」
「これでいくわ」
ゴキブリホイホイで、というのだ。
「それでいくから」
「効けばいいわね」
「効くわよ、多分ね」
「多分なのね」
「そう、多分よ」
富子も娘に言われて自信がなくなってきた。だが何はともあれ置くことは置いた。しかし一週間程経ってゴキブリホイホイの中を覗いてみると。
一匹もしなかった、しかも中をチェックしたその時にだ。
部屋の何処からかガサゴソという音が聞こえてきた、それで頭にきてだった。
富子はすぐにメーカーに抗議の電話を入れた、電話番号をわざわざネットで調べてだ。言うまでもなく効かなかったと言う為だ。
それで抗議をするとだ、出て来たのは。
「はい、八条製薬八条義造です」
「あのですね」
開口一番だ、富子は相手に言った。
「そちらのゴキブリホイホイを買ったんですが」
「効かなかったのですか」
「そうなんです、どういうことですか?」
「はい、その件についてはです」
端整な若い男の声だった、よく聞いてみると。
「当社も独自調査をして調べたのですが」
「それでどうして効かないんですか?」
「八王子工場で製造しているものの糊に不具合がありまして」
「それでなんですね」
「はい、八王寺工場で作られたものはです」
そのゴキブリホイヒはというのだ。
「どうしてもです」
「糊が悪くて」
「効果がなかったのです、至急対応を検討し対策を打ち出して」
そして、というのだ。
「今対処中です。八王子工場で製造された製品は全て回収して」
「買ったものはどうするんですか?」
「はい、是非当社にお送り下さい」
実際に是非にという口調での言葉だった。
「交換に応じます」
「それじゃあ送らせてもらいますね」
「はい、お願いします」
「あの、それとなんですが」
ここでだ、また言った富子だった。怒りが収まらないのでそのまま出した言葉だ。
「一つ聞いていいですか?」
「何でしょうか」
「今回の対応のことは覚えておきたいので」
今後企業側が不誠実な対応を取った時に備えてだ、富子は録音まではしてなかったがそれでもメモをしていざという時に使いたいと思ってこう言ったのだ。
「貴方のお名前をもう一度教えて下さい」
「八条義造です」
「八条義造さんですね」
「何かあれば私の名前を出して下さい」
こうまでだ、電話の相手は言って来た。
「その時はお願いします」
「わかりました、それでは」
実際に相手の名前をメモしてからだった、富子は電話を切った。そのうえで学校から帰って来た陽子にこのことを話した。夫と陽子の兄である息子はまだ帰って来ていない。
「やっぱり効かなかったわ、ゴキブリホイホイ」
「私
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