第四章
[8]前話
「大当たりだな」
「はい、お店の外と中を変えて」
「服までな」
「大成功でしたね」
「こうなると思ったか?」
「いや、ここまではですよ」
とてもとだ、守道も一浩に返した。
「僕も思いませんでした。ただ」
「ただ?」
「やっぱりお店は目立たないと駄目みたいですね」
「まずはか」
「はい、幾ら味がよくても」
「まずは注目されないとか」
「駄目なんですね、やっぱり」
こうしみじみとして言うのだった。
「考えてみたら、前も言いましたけれど小石だと」
「誰も見向きしないな」
「はい、ですからまずは注目されること」
「そのことが大事だな」
「そういうことですね」
「味がよくて安くてお店の中が奇麗なだけじゃ駄目か」
「まずは目立たないと」
それこそというのだ。
「駄目ですね」
「そういうことだな」
一浩も掃除をしつつ言った、実際に店は目立ってから復活した。彼は自分自身のことからよくわかった。世の中はまずは注目されないと駄目だと。さもなければ商売も成り立たないということもだ。
だがそれでもだ、一浩は守道に言った。
「けれど掃除はな」
「徹底的にですね」
「しような」
「基本中の基本ですからね」
「それと料理の味も落とさないからな」
「そういうことが出来てこそですからね」
「ああ、注目されてそれだけになるよな」
そこで終わってしまうというのだ。
「だからな」
「お掃除はですね」
「手を抜かない様にな」
このことを忘れるなと話してだ、そしてだった。
二人は掃除は手を抜かなかった、基本は忘れるなということも忘れていなかった。
破れかぶれ 完
2015・7・23
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