第1章:平穏にさよなら
閑話2「幸せになる資格」
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
...っ、そう言う事か...!」
「(はは...さすがは優輝君...。触っただけで僕の状態が分かるんだ..。)」
食事を何度も抜かれ、暴力を振られ、僕の体は衰弱していた。
多分、適切な処置を取れば助かる傷だったのだろうけど、衰弱していた僕には致命傷だった。....それは、僕自身もよくわかっていた。
「くそっ...!くそっ...!聖司!しっかりしろ!」
「...ぁ...ぅ....。」
背中辺りが生温く感じる。血が溢れ、地面に溜まってきてるのだろう。
「....優輝...君...。巻き込んじゃって...ごめん...。」
「聖司...?聖司!!」
「(....せめて、優輝君だけでも幸せに、なっ..て.....。)」
そこで僕の意識は薄れ、消えてしまった。
―――この時から、“僕”は“私”という存在になった。
「――――....ぇ...ぁ..れ....?」
気が付けば、どこか知らない家に、私はいた。
「ここ、どこ...?“僕”は.....死んだはず...。」
見覚えのない部屋に、戸惑いを隠せない。
....いや、本当は覚えている。
うっすらと、この家の子供として生まれ、今まで育てられてきた記憶がある。
「どういう...こと?」
ふと、そこである事に思い当たる。
まだ幸せだった頃、パソコンやケータイで見ていた二次小説などで偶に見かけた言葉。
「“転生”....?」
主人公が死に、神様などに会ったりして転生させてもらう。稀に神様に会わずに転生していた的なケースもあったりする。
...この時の私は、それにそっくりな状況だった。
「....綺麗な部屋....でも、どこか....。」
女の子っぽい?と思って、私は気づく。
「っ.....女の子に...なってる?」
長い亜麻色の髪。小さく、華奢な体。そして何より、男と女の決定的違いとなる存在が女性のものだった。
「....そっか、女の子として生まれたのか...。」
この時、ようやく記憶から私が“聖奈司”だという事を自覚した。
戸惑いはあったけど、これでも記憶はうっすらと残っているから仕草とかは既に女の子のものとなっていた。
「...これからは、“僕”じゃなくて“私”....か。」
既に一人称も“僕”より“私”の方がしっくりくるようになっていた。
「...なんだが不思議な感覚...。」
祈巫聖司じゃないはずなのに、聖奈司としては馴染んでいる。
それがとても複雑で不思議な感覚だった。
「あ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ