第二章
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鉄砲を譲り受けるとその場で用意されていた的に撃ってみせた。的はその弾を受けて粉々に砕けた。そして。
遠く離れた的も撃ち抜きどんなその撃ち方も速かった。それを見てだ。
信長の家臣達は唸ってだ、口々に言った。
「これは凄い」
「うむ、かなりな」
「百発百中ではないか」
「しかもどれだけ離れていても的の真ん中を撃ち抜く」
「久助殿は鉄砲も凄いのか」
「鉄砲も使われる」
「そうなのじゃ、この者は忍としても優れているが」
それだけではなく、とだ。信長も話す。
「鉄砲も見事なのじゃ」
「この様にですか」
「狙った的は外さない」
「例えどれだけ離れていても」
「鉄砲の間合いならですか」
「外さぬ、だからな」
それでというのだ。
「御主達に見せたのじゃ」
「その久助殿の腕を」
「そうされたのですな」
「いや、これはお見事」
「よきものを見せて頂きました」
「御主達も鉄砲の腕を磨け、これよりわしは多くの鉄砲を買う」
こうも言った信長だった。
「例え高くともな」
「鉄砲を揃え」
「それを戦に使われますか」
「そうされるのですな」
「その通りじゃ、これからは鉄砲じゃ」
信長は確かな顔で言い切った。
「御主達は鉄砲を使う兵達の采配も学べ、よいな」
「はい、わかりました」
「さすれば」
家臣達は信長の言葉に頷いた、その彼等の言葉を受けてからだ。信長はあらためて滝川に顔を向けて彼に言った。
「後で褒美を取らぬ」
「有り難き幸せ」
「そして御主もじゃ」
「鉄砲の采配をですか」
「学べ、忍の者達への采配と共にな」
「わかり申した」
滝川は信長に静かな声で応えた、彼の傍に影の様に従いながら。
滝川は鉄砲だけでなくその忍の技でも信長に仕えた、彼は信長の敵のことを調べ時としては裏の仕事もした。
そうして政もする様になり信長にとって欠かせぬ者の一人になってきていた。そして信長が信行を滅ぼし尾張を統一し桶狭間で今川義元を倒した時にはだ。
柴田勝家や丹羽長秀程ではないが信長の重要な家臣の一人となっていた。ここで信長に仕える様になっていた柴田も言った。
「いや、まさかな」
「はい、我等もですが」90
「今では吉法師様にお仕えしていますが」
「吉法師様はうつけではなく」
「出来た方でしたな」
「まずそのことが迂闊だった」
柴田は苦い顔で言った。
「それを見抜けなかったのはわしの不覚じゃ」
「全く以て」
「政もお見事ですし」
「尾張は吉法師様の政でまとまっています」
「戦でも今川に勝ちましたし」
「凄い方ですな」
「それにじゃ」
ただ政が出来戦に強いだけではないというのだ、信長は。
「人をわかっておられる」
「人の才を見抜かれてですな」
「よく使われています
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