第五章
[8]前話
「そのことをわかってね」
「ああ、わかった」
「今回のことでな」
「天邪鬼は嘘を言っていない」
「逆のことを言うのと嘘を言うのは違う」
「そうしたことか」
「つまりは」
村人達皆で言うのでした。
「悪い奴でもないんだな」
「むしろいい奴か」
「そうだな」
「いい妖怪なんだな」
「そのことをわかってね」
妖怪の皆がまた言いました。
「天邪鬼はそういう奴だってこと」
「悪い妖怪じゃなくて」
「いい妖怪なんだよ」
「ただ言っていることが逆なだけで」
「それだけなんだ」
「悪い妖怪じゃないんだよ」
「わかったよ」
人間達も答えるのでした。
「天邪鬼のことが」
「そうか、いつも逆のことを言っているだけで」
「それは天邪鬼の習性で」
「他のことはない」
「そういうことか」
「そうだよ、だから皆天邪鬼のことをわかって」
河童がここでまた皆に言いました。
「話を聞いてね」
「うん、わかったよ」
「じゃあね」
「そのことを理解して」
「それでね」
「これからも付き合っていくか」
「そうしようか」
村人達も頷きました、そしてです。
村の皆はこの時から天邪鬼のお話を聞く様にしました。天邪鬼がどういった妖怪であるのかがこれでわかったので。
天邪鬼はいつも思っていることと逆のことを言います、ですがそのことがもうわかっているので。
お話を聞きます、それはこの日もでした。
「皆明日はお家に来ないでよ」
「ああ、天邪鬼のお家に」
「絶対に」
「そうだよ、お父さんとお母さんが言っていないんだ」
こう妖怪の皆に言うのです。
「お友達なんか呼ぶなって。だからね」
「うん、わかったよ」
「じゃあ行かせてもらうよ」
「それじゃあね」
「明日ね」
「待っていないから」
笑顔で言う天邪鬼でした。
「それに楽しみにしていないから」
「そうだね、明日はね」
「皆で楽しもうね」
「天邪鬼のお家でね」
皆は笑顔で言うのでした、そしてでした。
天邪鬼も笑顔でいました、口ではそうしたことを言っても。
天邪鬼 完
2015・8・22
[8]前話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ