第二章
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「それで夏の夜に放たれてね」
「蛍奇麗よね」
「何ていっても」
「幼虫の頃から育てておられるのがね」
「凄いよね」
「その本格さに引いていて」
それに、というのだ。
「何故か哺乳類はいないのよ。私ハムスターとか好きなのね」
「けれど生物部ではなのね」
「ハムスターは飼ってないのね」
「そうなの」
「一匹だけ飼ってるのよ」
飼うことは飼っているが、というのだ。
「殆どそういったのよ、一番多いのが青虫なのよ」
「その蝶々になる」
「そっちなのね」
「蝶姫らしく」
「そうなのね」
「そうなの、困ってるのよ」
実にというのだ。
「もっとこうね、成長すると奇麗でしかも縁起がいいのじゃなくて」
「縁起?」
「あっ、そういえば」
話を聞いていたクラスメイト達もわかった、蝶にしても他の生きもの達もだ。
「蛙も置きものとかがね」
「縁起ものだし」
「亀もだし」
「縁起がいいってされてるわね」
「奇麗なのとか」
「蜻蛉は蚊を食べてくれるし」
ヤゴの時にはボウフラを食べる、蜻蛉は幼虫の頃から益虫なのだ。
「蛍も奇麗」
「先輩ってそうなのね」
「そっち志向なのね」
「奇麗、縁起なのよ」
青葉の志向はというのだ。
「それも極端なね」
「結構変わり者としても有名な先輩だけれど」
「あの人のその志向についてくのがなのね」
「愛実としては厄介」
「そうなのね」
「私は可愛い系なの」
愛実ははっきりと言った、黒い絹の様な長い髪で垂れめで切れ長の長い睫毛を持つ瞳に細い絶妙なカーブを描いた眉にだ、泣き黒子まで左目の奥にある。
小さな紅の唇に白い細面、高い鼻を持っていて。
背は高く脚はすらりとして長く胸は目立っている。腰も締まっている。モデルというよりかはホステスになればトップになれる様な外見だ。
その彼女がだ、こう言ったのだ。
「そっちなの」
「その外見でもね」
「物凄く色っぽいのに」
「高校生とは思えない位なのに」
「可愛い志向なのよね、愛実って」
「ぬいぐるみ好きだし」
しかも全く捨てないで部屋に飾るタイプだ。
「ファんシーグッズ集めが趣味で甘いお菓子も好物で」
「で、普段着はピンクハウス」」
「それで夜はピンクのふりふりのパジャマよね」
「下着も白やピンクだから」
このことは小声で言った、クラスにいる男子達に聞こえない様にして。
「けれど先輩はね」
「奇麗、縁起系」
「そっちなのね」
「外見は可愛いのに」
それでもというのだ。
「あの人はそうなのよ」
「愛実がそうならわかるけれど」
「西宮先輩はそうなのね」
「そっちなのね」
「ここだけの話私以上の虎キチで下着黒と黄色の縞ばかりだから」
このこともだ、愛実は皆に囁いた。
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