第四章 誓約の水精霊
第九話 剣
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けた士郎は、ぬかるみ始めた地面を天高く舞い上げながら斬りかかった。
「もうっ! 何かないのっ! このままじゃジリ貧よっ! 何か、何かないのっ! 何か!」
「もうどうしようもないわよ。そろそろ逃げることを考えなくちゃね」
士郎がウェールズ達に向かって斬りかかるのを目に入れ、ルイズは力になれないことに対し憤りを感じ、地団駄を踏む。隣に立つキュルケも、同じように苛立ちを示すように、トントンと足でぬかるんだ地面を何度も踏んでいる。
「何か……何か……あっそうだ!!」
「何かあるの?」
「もしかしたら」
ハッと顔を上げたルイズは、慌てて懐の中から肌身離さず持っている祈祷書を取り出した。ボロボロの本を取り出したルイズに、キュルケが顔を向けるが、ルイズは反応することなく、祈祷書のページを捲る。
捲った先のページは真っ白だったが、ルイズは力を込め握り締め、目に力を込めてじっと見つめる。
お願い……わたしに、士郎の力になる力を……
「あ」
じっと見つめていると、かつて飛行機の中で起きたように、祈祷書が光りだした。その光に、キュルケとタバサの視線が向けられる。
「ちょ、ちょっとルイズ。これ一体どう言うこと?」
「……」
キュルケの声はルイズには届かない。ルイズの意識は、今、その全てが光りだし祈祷書。その真っ白だったページに向けられていた。ルイズの視線の先で、段々と文字が浮かび上がる。光が収まり、真っ白だったページにハッキリと現れた文字を、ルイズは読み上げた。
「……ディスペル・マジック……『解除』の魔法」
死んでは蘇る騎士団と士郎が死闘を繰り広げる光景を、アンリエッタ呆然と見つめていた。雨が降り出し、炎が効かなくなれば、士郎達も諦め逃げ出すと思っていたのに、彼らは……士郎は欠片も逃げる様子を見せず向かってくる。
アンリエッタには分からなかった……ルイズ達……貴族が自分を連れ戻そうとするのは、自分がウェールズと共にいるということではなく、女王という存在がいなくなることに対して恐れているからだ……。それは納得出来る。王がいなくなれば、国が成り立たなくなってしまうからだ。いくらあのマザリーニでも、王がいない国を上手く回すことはできないだろう。だから、王である自分を必死に取り戻そうとするのは分かる。
でも……彼は違う。
彼は言った。
女王の地位を捨て、誰かと共に生きたいと言うのなら、止める気はないと……場合によっては力になるとも彼は言った。彼が今、自分の前に立ち塞がるのは、自分が不幸になるのを防ぐためだと言った……。
彼……エミヤシロウと名乗る彼は……いつも優しい目を……笑顔を向けてくれた。それは、自分が女王になって
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