第四章 誓約の水精霊
第九話 剣
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、タバサが完成させた魔法の壁により、魔法が全て弾かれ被害はない。
それを横目で確認した士郎が、魔法が飛んできた草むらに向かって飛び出そうとする。すると、それを制するかのように、草むらの中から、予想したいた、いるはずのない人物が現れた。
「……ウェールズ」
ギリッと歯を鳴らし、現れたウェールズを睨み付ける士郎。
胸の奥から吹き上がる、黒いドロリとした熱を感じながら、士郎はデルフリンガーをウェールズに向ける。デルフリンガーを掴む左手のルーンが、戸惑うように点滅を繰り返している。
「アンリエッタを返せ」
歴戦の傭兵でも震え上がるほどの、士郎の殺気を込められた視線を向けられながらも、ウェールズは何でもないことのように、微笑みを崩さない。
「何を言っているのかな? 彼女は自分の意思でここにいる。返せと言うのは可笑しいんじゃないかな?」
「貴様が言いくるめただけだろう」
今にも飛びかからんとする士郎の前に、ガウン姿のアンリエッタ立ちふさがった。
「待ってシロウさん。わたし達をこのまま行かせて……お願いですから」
「姫様っ何を言っているんですか! しっかりしてくださいっ!! そこにいるのは本物のウェールズ様じゃないんですッ! 『アンドバリの指輪』と言われる水の精霊の秘宝で蘇った、ただの亡霊なんですッ!」
シロウの後ろで、必死にアンリエッタに訴えるルイズに、アンリエッタは、ふっと、今にも崩れそうな儚い笑みをルイズに向けた。
「ここにいるウェールズ様が、ただの亡霊だと……とうに分かっています……ウェールズ様の唇に触れた時に……もう……」
触れた時に感じた、凍えるような冷たさ……分からないわけが……ない……でも……それでも……。
「それでもっ……それでもっ! わたしはっ!」
「さて、アンリエッタもこう言っている。君たちは怪我をする前に、王宮に帰ったらいい」
「何を……」
アンリエッタの前に移動したウェールズは、士郎達に向かって両手を広げる。そのふてぶてしいウェールズの態度に、ルイズは体を震わせ睨み付ける。
「姫様っ! 亡霊だと分かっているのに何故ついていくのですかっ! ついて行く先には、何もありませんよっ!!」
唾を飛ばし、必死に声を上げるルイズに向かい、アンリエッタは変わらず儚い笑み向けるが、その目は爛々と異様な光を帯びていた。
「構いません。……あなたは知らないのでしょうね。女はね、本気で人を好きになれば、何もかも捨ててでも付いていこうとするものなのよ。例えウェールズ様が既に亡くなっていたとしても……わたしに言ったことが嘘だとしても……ね……本気で人を好きになったことのないあなたには、分からないわよね……」
「う……さ……」
「え?」
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