第四章 誓約の水精霊
第九話 剣
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馬で向かおうとした士郎だったが、竜の方が速いとタバサが提案したことから、風竜に乗り込み王宮に向かった。その時、ついていこうとするルイズ達を士郎は止めようとしたが、女王陛下の許可証を持つ自分が必要だと言うルイズと、風竜は自分の使い魔だと言うタバサ達を説得する時間が勿体無いと判断し、結局その場にいた全員で王宮に向かうことになった。
風竜の速度はやはり速く、馬では半日はかかっただろう距離を、たった二時間で辿り着くことが出来た。王宮に到着したのは、既に深夜一時を回っていた。
この時間帯ならば、起きている者は、精々夜勤の衛兵程度のはずが、士郎達が王宮を視界に収めた時には、あちこちに篝火が焚かれ、城の中を様々な人が駆け回っているのが見えた。
風竜が中庭に降り立つと、中庭の近くにいた魔法衛士隊に取り囲まれた。士郎が口を開こうとすると、囲みの中から見覚えのある男が現れる。
「何者だ! 現在王宮が立ち入り禁止だと言うことを知らんのか!?」
さらに何か言おうとした男だったが、風竜の背中に乗っている者が、以前同じように王宮に現れた者だと気付くと顔を顰める。
「またお前達か!? 今日は一体何の用だ! 今はお前たちに構っている時間などないぞっ!?」
男、マンティコア隊の隊長の怒声を浴びながら、士郎は風竜の上から飛び降りると、厳しい表情を浮かべながらマンティコア隊の隊長の前まで歩いていく。
「女王陛下は何処にいる。無事なのか?」
「何? ちっ、どこで知ったのか知らんが、お前たちには関係ない! さっさと立ち去れっ!!」
手を振り回し、追い出そうとする隊長の顔の前に、士郎の後ろから現れたルイズが、手に持った紙を差し出す。それはアンリエッタからルイズが貰った許可証であった。
「わたしは女王陛下直属の女官よ! 女王陛下からの許可証を頂いています! 直ちに事情の説明を求めるわ!」
「なっ?」
目の前に差し出された許可証に渋々と目を通した隊長は、それが間違いなくアンリエッタ女王陛下の許可証であると確認するも、疑問の色を浮かべた目を許可証とルイズの顔を交互に見比べる。許可証には『公的機関の者は、あらゆる要求に答えること』と書かれている。この許可証が本物であることは間違いないと判断した体調は、ならば、軍人たる自分のするべき事は一つしかないと、出かかった疑問お声を飲み込み、口を開いた。
「今から二時間ほど前ですが、女王陛下が何者かの手により拐かされました。現在ヒポグリフ隊がその行方を追っていますが、警護の者が賊の一人も討つことが出来る前に全滅させたほどです。……只者ではありません」
「何処に向かった」
「むっ、それは」
「どっちにいったか分からない?」
「はっ、賊は街道を南下。ラ・ロシェール方面に向かっていると
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