第十章 隠された実力
第二話 今はそうなら
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ぼくは今、可憐と手合わせしている。
断る理由はない。受ける理由もないが。
何か吹っ切れたのか、可憐はいい顔で戦ってくれる。
それはありがたい話。
可憐のトリガーはユウから貰ったトリガーで通ることになった。
それは構わないのだが。
ただ、あまりにも強すぎてぼくでは手合わせにならない気がする。
38-8
まだ戦うつもりだろうか。
いい加減、飽きてもらいたい。
加古隊の双葉が使うような“高速斬撃”が飛んでくる。
しかも、あのクレイモアではスコーピオンは葉っぱみたいなもの。
あっさり割られる。
双葉みたいにはじめに軌道を決めてるわけじゃない。
意識が追い付かないからそんなわけな・・・
いや、可憐の育った世界が世界だからその考えはやめよう。
無理、あり得ない、は思考停止ワードだから。
まさかとは思うけど、意識より体を先に動かしているとか。
右腕を暴れさせて剣を実は振り回しているだけ。
そうなると意識は、右腕より暴れる右腕を押さえる精神力にいく。
疲れたり動揺したりすれば使えない技か。
「もうやめない?ぼく、しんどい」
「えー、まだまだ〜
しろーの馬鹿〜」
「戦闘民族・・・」
「あ?なんつった、おい!!」
ここで負けたら、将来ぼくは尻に引かれる。
それが確定してしまう。
負けずに睨みかえそう。
「はいはい、いいわよ。
加古さんと銭湯いく約束あるし」
「初耳」
「そりゃ今、言いましたから」
「・・・教えてくれてもいいじゃん」
「え、ストーカーするの?」
可憐はユウに何をされてきたのか、知りたいような知りたくないような。
彼氏とはこんなものらしいな。
可憐が泣きついてきたのは数時間前。
あちらからいきなりキスしてきたのは驚いた。
しかも泣きながら。ボーダー本部の会議室前ですが。
誰もいなくて良かったと本気で思う。
仕方なく屋上に連れていくと、
「寒い、寒い。士郎がいじめる。
あぁ、歌川くんが士郎って呼んだら暖まるのに」
通常運転に戻った。
泣きついてきたのは先程ではないようにすら思える。
士郎って言われたのは嬉しくないわけないが、歌川に言われたら吐き気がする。
でも可憐は少しぼくの事を考えてくれていた。
「私、絶対守るからね。
それと絶対にこの世界に私はいるから。」
そのあとの台詞は録音したかったな。
ぼくぐらいしか聞こえない小さい声で
「士郎・・・いるから・・・帰りたく、ない」
と言われたら、無視できません。
可憐に守られるのは嫌ですけど。
「ぼくが守るからね」
「・・・」
なぜか不思議そうな顔をされる。
そしてぼくが不愉快にしかならない台詞を吐かれた。
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ