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思春期 
第二章

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「男の人とあれして」
「妊娠してね」
「妊娠って」
「いや、きてるけれどね」
「そう、あれはね」
 また『あれ』だった。それが示すものは違うのにこれで意味は通じた。
「何ていうかね、しんどいわね」
「そうよね、けれどね」
「私達もう」
「赤ちゃん産めるのよね」
「身体的には」
「充分ね」
 このこともだ、私達はお互いに話して顔を余計に赤くさせた。身体自体が熱くなってきた。
「ええと、結婚してね」
「あれをして」
「その人の赤ちゃん妊娠して」
「産んでそして」
「お母さんになるのね」
「つまり私達のお母さんって」
「そうよね」
 このことからもだ、私達はお互いに考えて信号みたいに真っ赤になったまま話した。
「したのよね」
「お父さんとね」
「だから私達が産まれた」
「そうよね」
「じゃあ私達もね」
「大人になったら」
 その時はだった、まさに。
「そうしたことするのね」
「普通に」
「考えられる?」
 私はかなり真剣にだ、彼女に尋ねた。
「いつも。そうしたことするって」
「夜になったら」
「考えられるかしら」
「全然」
 首を必死に横に振っての返事だった。
「そんなこと」
「そうよね、全然にね」
「考えられないわよ」
「彼氏もいないのに」
「彼氏ね、出来るかしら」
「出来るわよ、絶対に」
 今度は私が必死に言った。
「私達にも」
「そうよね」
「松坂桃季さんみたいな人が」
「瀬戸康史さんみたいな人が」
 二人でそれぞれ好きな俳優さんを出した、自然に。
「絶対にね」
「彼氏として出来るわ」
「そうよね、だからね」
「その人と結婚して」
「そしてその人とね」
「そこから先は言ったら駄目よ」
 私の言葉、先のそれは止められた。それも全力で。
「だって何かもう」
「想像しただけで」
「想像なんか出来ないわよ」
 とても、というのだ。
「そんなこと」
「想像出来ないの?」
「恥ずかしくて」
 だからというのだ。
「もうそんなこと、キスとか」
「それで胸とかお尻とかね」
「それで裸になってとか」
「言ってるじゃない」
「言ってるけれど」
 それでもというのだ。
「けれど想像は」
「してるから言えるんじゃ」
「それでも言えないわよ、とにかく結婚とかね」
「ちょっとね」
「想像出来ないわよね」
「もう夢の話よ」
 中学二年生の私達にしてみればそうだった、まさに。
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