1話
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と思い言葉を紡ぐ。布はポケットにすばやく仕舞う。彼女は見逃していたが、ロープからそれと同じ布を幾枚も、着ている洋服のポケットに仕舞っていた。あまりの手先の速さに、黒ウサギは見過ごしていたのだ。
「他にミスラルやアダマンティンのインゴットならあるが・・・・・・貨幣は勘弁してくれないか。ここに来たばかりで持っていないんだ。」
ぺこりとすまなそうに頭を下げた。
その姿を見た黒ウサギが硬直から回復する。
慌てた様に袋を突っ返す。
「こ、こんなに受け取れませんよ!」
「そういうわけにもいかない。とりあえずでいいから」
押し付けあうように、袋が二人の間を往復する。
お互い譲らない。ようやくウースが一歩引いた形で、
「じゃあ。こうしよう。何分私はこちらに来たばかりでね。拠点も宿もないんだ」
条件をだしていく。
「三日程で良いから、ここに住ませてもらえないかな? もちろん、恩返しとして私も何かしらはしよう」
人差し指を立てて、話を続ける。
「それともう一つ。私はこの世界の事をしらない。教えてもらえないかな」
袋を黒ウサギに押し付けて、彼はにこりと笑った。
その笑顔からこれ以上引く気がないことを悟った黒ウサギは、渋々と頷いた。
「箱庭ね。聞いた事のない世界だ」
「こちらもです。グルムーシュとかドル・アラーなんて聞いた事ありません」
情報を共有した彼等は、互いの世界がまったく異なる事を理解しあった。
(とはいえ。こちらの神格もまったく聞いた事ない名前ではない。確かかつてあのツンデレハゲ……もとい師父と共に行った、世界の神格にあった筈の名前だ)
「セト。この名前に覚えは?」
「えっと。確か魔王の一体にそんな名前があった気がします」
黒ウサギは頭に、細い指を当てて答えた。
(一応繋がりはあったわけが・・・・・・辺境。)
色々考えがめぐるが、ウースは思考を閉ざす。
(まだ情報が足りない。結論を出すには早いな)
感情を微塵も出さず、黒ウサギに話題を投げる。
(ギフトゲーム。神の試練を簡略化して、民間にも適用されている遊び。一種の法と考えてもいい。つまり)
「しっかりとした法律はある。その上にギフトゲームが存在していると考えていいかい」
「YES! 大体そんな感じです。しかしギフトゲームを使った詐欺まがいな事は、処罰されます」
幾つかの情報交換をして、満足したのだろう。黒ウサギにウースは軽く頭を下げた。
「助かったよ。情報がまったく無くてね」
「いえいえ、これくらいでしたら」
手を振り恥ずかしそうに答えた。
「いやいや、話によれば君達は、三年ほど前に魔王に襲われたのだろう? 今も
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