2部分:第二章
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第二章
「それで」
「それでなんですか」
「はい、いつも食べてます」
また雅美に言ってきた。
「こうして」
「そうですか。毎日ですか」
「いやあ、美味しいですね」
古田はにこにことしてステーキを食べながら雅美に話す。
「食べてまた仕事頑張りますよ」
笑顔は温厚そのものだ。目の光も優しくそれでいてそこには確かなものもある。少なくとも有能な人物であるのはそうしたところからわかる。これも夫の言う通りだった。
それは雅美にもわかった。有能で人格もだ。
「何かねえ」
「ああ、古田さんの肉好きだね」
徹もそれに応える。
「あのことだね」
「あれ、身体に悪いんじゃ」
「あれさえなければね」
こう言う彼だった。
「最高なんだけれど」
「ううん、困ったことなのね」
「まあ仕方ないかな。人間誰にも欠点はあるよ」
徹は落ち着いている。それでもなのだった。雅美はそれが心配で仕方なかった。
しかも話はこれで終わりではなかった。夜はだ。
徹と対峙する役の伊藤と監督の尾花と交えて四人で飲む。その二人は。
伊藤は何とウォッカをストレートで飲む。それもボトルを何本もだ。
それを見てだ。雅美は唖然として彼に問い返した。
「あの、ウォッカをですか?」
「ええ、それが何か」
伊藤は端整な顔を赤くさせて彼女に返した。
「ありますか?」
「お酒強いんですね」
「大好きなんですよ」
こう返す伊藤だった。顔は実に楽しそうである。
「もうお酒があればね」
「それにしてもウォッカをストレートですか」
「ははは、伊藤君は凄いねえ」
監督の尾花も上機嫌だ。彼はケーキやドーナツをオレンジジュースと一緒に食べている。
「僕は酒は駄目だからね」
「いやいや、監督も」
その伊藤が尾花に返す。
「甘いものいけますよね」
「そうだけれどね」
「僕はそっちは駄目ですから」
こう言うのである。
「だから凄いですよ」
「凄いかな」
「いつもそれだけ食べてますよね」
「甘いものが好きなのは確かだね」
それは尾花自身も言う。
「もうケーキとかね。毎日食べないと気が済まないよ」
「僕は酒で」
伊藤はそれだというのである。
「一日の最後はこれですよね」
「いやいや、酒豪だねえ」
「かも知れませんね」
こんなことを話して二人はどんどん酒や甘いものを飲み食いしていく。雅美はここでも唖然とすることになった。そうしてである。
次の日だ。雅美は朝二日酔いと胸焼けに苦しみながらだ。夫に話すのだった。見れば夫もだ。いささか苦しそうな感じである。
「あの、伊藤さんと尾花さんって」
「うん、ああなんだ」
「酒豪と甘党だったなんて」
「昔からだよ、二人共ね」
「いつもああなの?」
雅美は
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