第40話 夕闇の砂漠
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を失ってしまったハルピュイアの呟きをルインは不思議そうに見つめた。
「え?」
「俺は……あの男からエックス様をお守り出来ず…もう一人のエックス様…コピーエックス様をお止めすることすら出来ませんでした。そればかりか大勢の人間までバイルから守れなかった…」
「それは君のせいじゃないよ。悪いのはコピーエックスとバイルなんだから」
ミサイルを撃ち込んだのはバイルでそれを許可したのはコピーエックスなのだから、何もハルピュイアが悪いわけではないと、ルインが慰めるように言うが、ハルピュイアは静かに首を振る。
「いいえ、こうなってしまったのは全て俺の責任です。」
「ハルピュイア…」
「俺がもっとしっかりしていれば、エックス様は破壊されず、ダークエルフが解放されることなどなく、バイルの手にダークエルフが渡ることはなかった…。いえ、コピーエックス様の異変にもっと早く気付いていればこのようなことには……。そして俺は今まで、無実のレプリロイド達を…これほど罪深い事がありましょうか…。今まで守ってきた人間達すら守れなかったそんな俺に、そのような事が出来るのでしょうか。」
以前、ネオ・アルカディアでハルピュイアが言っていたように、ハルピュイアはレジスタンスを倒すことが正義だとは思っていない。
だからこそ、人間を守るためとは言え、無実のレプリロイドを斬ってきたことの罪悪感をいつも抱えていたのだろう。
心の支えを失い、精神的に弱っていたところに母親と呼べるルインを前にしてハルピュイアが押し殺してきた物が溢れ出してきたのだろう。
「大丈夫、君なら出来るよ」
断言するように言うルインにハルピュイアは目を見開いた。
そしてルインはハルピュイアを優しく抱き締めると、ハルピュイアの背中を擦り、頭を撫でる。
少しでもハルピュイアの…息子の苦しみが和らぐように。
「君は…エックスの子供なんだよ?どんなことがあっても最後まで諦めなかったエックスの子供…君は一人じゃないよ。レヴィアタンやファーブニルだっている。私も…エックスも…いつも君のことを想ってる…だから一人で背負い込まないで…」
「ルイン…」
「君は強い子だよ…」
体を離してハルピュイアの頬を優しく撫でながら、真摯な瞳で訴える。
「大丈夫、ハルピュイアはエックスと同じようにどんな困難にも抗える強さを持っているんだから。だからハルピュイア、君は…君自身を信じてあげて。」
「自分を…信じる…」
「あ、でも、お願いだから今は無茶はしないでね。体が壊れるまで無茶したら流石のエックスも怒っちゃうよ?だってエックスは君の主であるのと同時にお父さんなんだから。」
そう言って、両手の人差し指をこめかみ辺りの横につけ、上に向けて角を模して
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