はて迷外伝 最強の剣と最強の盾5th
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裂いた。神経まで鈍いのか、オークがその傷に気付いた時には既に体のバランスが致命的に崩れていた。
もたつくオークに対して剣を真正面に構え直したアーサーは深く踏み込み、次の瞬間、白刃が煌めいた。
「お前程度の敵に、逐一構っていられないのだぁッ!!」
『ブギィィィィィィッ!?!?』
ザシュッ!!と音を立て、彼女の美しい太刀筋は見事にオークの胴体を横一線に切り抜いた。
彼女の背中にはためく安物のマントも、これほど見事な動きをすれば絵画のような美しさを内包するように思えた。
――強い、とリベルは直感する。
彼女の剣は、ただ単純に強い。手ごわいと言い換えてもいい。とにかく彼女の剣技は一つ一つが無駄なく洗練されており、ステイタスを最大限に活かすような体裁きで速度と膂力を見事に両立させている。そのたたずまいは模範的というよりは理想的であり、ダンジョンに入りたての冒険者特有のムラや乱れが全く感じられない。
まるでレベル3,4か、もしくはそれ以上に堂々たる立ち回りだ。
「………………」
次に、リベルはもう一人の同僚であるユーリを見た。
黒髪褐色で精悍な顔つきをしたその青年は、普段は口を横一文字に閉じて落ち着いた印象を受ける。身体は筋肉質だが、それでも絞り込んでいるためか筋肉は細く引き締まっていた。比較的多動なアーサーのお目付け役といった風に彼女の一歩後ろに付き従う姿は、オーラこそ違うがどことなくあの女神フレイヤに付き添う『猛者』オッタルを連想させる気がした。
彼の戦闘スタイルは、説明するのも馬鹿馬鹿しいほどに単純だった。
「ぬぅああああああああッ!!」
ドゴォォォンッ!!と全速力の馬車が壁に正面衝突するような振動が響き、オークよりさらに巨大なシルバーバックの足が宙に浮く。ユーリがその凄まじい馬鹿力を使って敵を『盾で殴りつけた』のだ。にも拘らず、シルバーバックはまるで巨人に突き飛ばされたように無様に壁に衝突した。
どうやら彼にとってあの屈強なドワーフが抱えるような巨大な盾は殴打用の特殊武器らしい。それなりにオラリオで過ごしてきたリベルだが、あれほど明確に盾を正拳突きのように操る冒険者は見たことがない。しかも、その動きは武器を肉体の延長線上に捉えた武術の型のように動きが滑らかだ。あれはステイタスだけで再現できるものではない。
『ガァ……アッ……!?』
「……どうした白猿。でかいのは鳴き声と図体だけか?なら早々に――斃れてもらうッ!!」
盾の次に彼が構えたのは、アマゾネスが好みそうな片刃の大剣。体を丸ごと回転させるように体を捻ったユーリは、そのまま大剣を袈裟切りに振り抜く。
「一撃……必倒ぉおおおおおッ!!」
空を切り裂く大剣はその威力と重量を満載して振り下ろされ
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