第2話「なめらかなポリゴンは人の心もなめらかにする」
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なァァ!一体何のためにこんなことするんだヨォォ!」
「決まってんだろ……ウィルスを駆除するためさ」
ニヤリと笑う源外のゴーグルがキラリと光り、ハンマーが容赦なく振り下ろされた。
それぞれ頭に大きなタンコブを一個――なぜか新八は二個――のせて一寸法師みたく小さくなった銀時達に、源外は今後の計画を説明し始めた。
「お前たちはこれからたまの体内に入り、内側から直接治療行為を始めウィルスを駆除してもらう。名付けて『一寸法師計画』じゃ」
何のひねりもないまんま過ぎる計画名を堂々と口にしてから、源外は懐からある物を取り出した。
「獏と戦う時はコレを使え」
「これは何ですか?」
「俺が開発したウィルス駆除専用武器だ」
そうして人数分差し出されたのは、食後の歯に詰まった食べカスを取るのによく使う木製針である。
「ただのツマヨウジじゃねェか!ジジィ、これお前が一寸法師ごっこやりたいだけだろーが!」
「見てくれに騙されるな。ただのツマヨウジと思うなよ、銀の字」
銀時のツッコミに不敵に笑うと、源外は暴れる一寸法師たちをお椀の中に投げこんで、たまの口元へ寄せる。
「ほれ四の五の言ってねぇで行くぞ」
「源外殿」
投げこむ寸前、艶のある低い声に呼び止められ、源外は目線をお椀に落とす。
「なんだ?銀の嬢ちゃん」
「ウィルス感染はネット接続が原因だったな」
周りが小言をもらしてる中で、双葉だけはやけに冷静に腕を組んで出陣を待っていた。
潔い身の構え方だが、頭にできたタンコブが間抜けでどうも緊迫感に欠ける。
それは別として、改めて事件の発端を確認してくる双葉に源外は頷いて答えた。
「ああ。しかしそんな馬鹿デカい情報を取り込んだ覚えはねェんだが……」
「そうか」
何かを納得するように呟く双葉だが、源外にはまだ引っかかることがあった。
事務仕事の為にたまの回路をネットに繋げることは何度かあり、その度にウィルスが寄生しないようチェックしていた……にも関わらず、たまは感染した。
単にウィルスを見落としてしまっただけなのか、あるいは――
「とにかく後はまかせた。健闘を祈る」
考えていても仕方ないと割り切って、源外はお椀ごと口の中へ放り投げた。
こうして、たまの運命は銀時達に託された。
=つづく=
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