暁 〜小説投稿サイト〜
ホウセンカのキオク
〜トアル事件〜
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が全身から噴き出していた。
ワイシャツが汗で濡れて肌にくっつく。
だがすぐに着替える気にはなれなかった。
未だに動悸が収まらない。
そのまま床に仰向けに寝転ぶ。
頭がなんだかぼーっとしている。
それはたぶん部活の疲労のせいではないだろう。
だがかなりの疲労感はある。
体が重く、そしてだるい。
「まだ……許してくれてないか?」
誰もいない部屋で1人呟いた。
当然返事など帰ってくるはずもなく、1人静かに目を閉じる。
目を閉じれば今でも思い出せるのだ。
いや違う。忘れられないだけなのだ。
忘れられないでいて忘れてはいけない記憶。
けれども懸命に忘れようとする僕。
忘れようとする度に深く深く刻み込まれる記憶。
その記憶は剣となり、僕の心にまた深く突き刺さる。
それは何もしなかった自分が自分に課した「罰」なのかもしれない。
そんなSF小説の主人公が言いそうなことを思う。
けれどそれは決して間違えてはいない気がした。
「あ、雨……。」
その母親の言葉から少しして窓の外から激しい雨音が聞こえてきた。
雨音を聞くうち僕はいつの間にか眠りについていた。
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