ビギンズナイト
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る事すら難しく、もはや自力で逃げるのは不可能だった。
せっかく助けられたのに、結局自分の死の運命は変わらない。そう思って目元に涙を浮かべたなのはの心は、絶望の気持ちで染まっていく。
「こ、こないで……!」
そう願った所でもう助からない、死ぬしかない。迫る死の恐怖で、なのははギュッと目をつぶる。そしてグールが、とうとう彼女に影を伸ばし……、
「うわぁっ!?」
ドサッ。
なのはの目の前にいきなり何かが落ちてきた。
赤いマフラーを巻き、大きめのレザーコート、動きやすそうなブーツ、使い込まれたレザーグローブなどを身に付けた少年……という年齢でもないが、そんな男の子がタツノオトシゴとひまわりを組み合わせたような奇妙な存在と共に唐突に現れたのだ。
「大丈夫か、ジャンゴ!?」
「う、うん。僕は大丈夫…………って、アンデッド!?」
なのはの目の前のグールを発見した彼はすぐさま体勢を立て直し、腰の光り輝く剣を抜き取る。闇を浄化する剣から発せられる、暖かい生命の輝きになのはは目を奪われる。
「綺麗……」
刹那、彼の一閃でグールが薙ぎ払われ、瞬く間に灰燼となって浄化された。奇跡的、もしくは運命的なタイミングで現れた彼のおかげで目前の危機は去ったが、彼は彼で自分の今の状況に困惑していた。
「おてんこさま、ここがどんな所かわかる?」
「すまない、私にもさっぱりだ。だが推測は出来る……転移する瞬間に発した、あの少女の言葉……覚えてるか?」
「うん。……ってことはつまり、ここは次元世界って事? かつてサバタが来て、シャロンが住んでいた、あの……?」
「恐らくそうだろう。しかし私達を転移させたあの少女、どういう訳か近くにはいないようだ」
「彼女は……一体何者なんだろう……」
「ジャンゴ、今の私達では情報が圧倒的に足りない。彼女の思惑について考えるのは後でも良いだろう。それよりジャンゴ、そこに倒れている少女だが、無事だったか確認しておいたらどうだ?」
「そうだね。…………君、大丈夫だったかい?」
ここで一つ、説明しておくことがある。サバタと同じように、ジャンゴも普段は母語の英語を使っている。そしてなのはの英語の成績はサボっていた事もあって壊滅的、ゆえに今の二人の間で会話は全く通じていない。だが英語である事はなのはも察したため、かろうじて引き出せるたどたどしい英会話を口にする。
「そ、そーりー。あいきゃんと、すぴーく、いんぐりっしゅ(ご、ごめんなさい。私は英語が話せません)」
「ん? 英語じゃ駄目なのか……じゃあ何語なら話せる?」
「あいきゃん、すぴーく、じゃぱにーず(私は日本語が話せます)」
「日本語? それなら大丈夫だ。ちょっと待ってて、頭の中で言
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