ビギンズナイト
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新暦67年8月27日、14時20分。どこかの病院のベッド内。
『〜♪』
「…………………………?」
ゆっくりと目を覚ました“彼女”は何かの曲と心臓の鼓動を知らせる電子音をBGMに、きょろきょろと目を動かして周囲を見る。最新鋭の機材がありながら、病室らしい清潔感が満たされている空間。そこで彼女は、自分が大怪我を負って恐らくここで治療されたのだと理解した。
「……あれ? もしかして……起きてます?」
点滴を新しいのに取り換えているナースが彼女の目を見つめ、彼女は筋肉が衰弱して動きにくくなっている首をどうにか動かし、肯定の意を示した。すると相当驚いたナースは慌てながら主治医を呼びに行く。とりあえず彼女は静かに目を閉じ、会話出来るように体力の回復に努めた。
そして数分後、連絡を受けた主治医がやって来て、彼女の話の相手をする事になった。
「え〜、おはようございます。時刻は昼過ぎなので、この挨拶が合っているか微妙な所ですけどね。それで……どうですか? 話せますか?」
「……ぅ……ん」
「上手く、しゃべれませんか? ああ、落ち着いて下さい。焦ることはありません。深呼吸して落ち着けばちゃんと話せますよ。さ、深呼吸して、ゆっくり話してください」
優しく指示された通りに彼女は深呼吸しながら落ち着こうとする。だが頭の中で疑問は尽きない。あの時に何がどうなったのか、なぜ自分はここにいるのか、あれからどれぐらい経ったのか、とにかく様々だった。それを察した主治医は「ええ、わかってます」と伝える。
「あなたはずっと、昏睡状態だった。こうして目を覚ますまでかかった期間は……約4ヶ月です」
驚きに目を丸くする彼女だが、例えば9年みたいにそこまで突飛な期間を昏睡状態で過ごしていた訳ではないと思い、どうにか精神が乱れるのを抑え込む。
「なるほど、やはり自制心はお強いのですね。それで、あなたの名前は言えますか? 自分の事、わかりますか?」
「はい……、…………あれ? ……名前も……過去も……、思い出そうとすると……急にぼやける……」
「ふむ、恐らく大量出血による記憶の欠落でしょうね。大丈夫、時間が経てば自然と思い出せるようになりますよ。でも自分の名前を思い出せないのは不安でしょうから、今の内にお伝えしておきます。あなたは“高町なのは”……管理局本局所属L級次元航行艦アースラに三等空尉として配属されていた第97管理外世界地球出身の魔導師です」
「たかまち……なのは……」
そして彼女……なのはは自分の名前を改めて脳に刻み付ける。自分の存在を、再び認識する。他の所属とか云々についても記憶しようとしたが、主治医は落ち着くようにする意図で手の平を彼女に向ける。
「今は名前だけ覚えていれば十分ですよ。さ
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