最終話「天女の雫」※修正
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少を押えてくれている。そのうちにこの手が彼女に届けば……
「ぐぅ……弥生!」
俺は高エネルギーの中で苦しみながらも、彼女の名を何度も呼び通続けた。
纏う服が引き裂かれ、皮膚から鋭い切り傷が生じ、さらに全身から激しい痛みが襲い掛かる。しかし、それでも俺は彼女へ手を伸ばし続けた。
――俺の思いが伝わらなくてもいい……ただ、お前だけを助けたい!
誰のためではない。自分の信じた大切なもののために……
こんな俺でも、唯一守りたい人のためなら……
どんな苦境でも、必ずその人を……彼女を……
「今度は……俺がお前を信じる!! だから……目を覚ませ!? 弥生!!」
次の瞬間、弥生から生じる高エネルギーの周波は突然途切れた。
「……!?」
弥生は目を大きく見開いて、俺の胸に抱かれた。俺は、もう離さんと彼女を思いきり抱きしめる。
「ろ……狼……君……?」
彼女の震えた弱々しい声は、俺の耳元へ届いた。
「弥生……」
額から血を流しながらも、俺は優しく彼女を見つめた。
そして、彼女の目から大粒の涙が次々に流れ始める。
「私……狼君を傷つけて……こんな、酷いことして……!」
全身傷ついた体と、額から流れる血を見て弥生は涙をこぼした。
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「弥生……」
「……でも、こんな私なんかのために来てくれて、本当にありがとう。心の中で、何度も狼君の名前を呼び続けていました」
ただ、目の前で墜落した彼を見て、悲しみと怒りが収まらず心の底に封じていた潜在能力を覚醒してしまった……そんな彼女は、心のどこかで心の痛みに苦しみながら必死で狼に助けを求め続けていたのだ。
「でも……その思いが伝わらなかったら、どうしよって……」
「あの時、弥生は俺を何度も信じてくれた。だから、今度は俺が弥生を信じる番さ? 今まで、俺を支え続けてくれてありがとう。今度は……俺も、お前を支えるから、これからも助け合って、この歪んだ時代を生きて行こう?」
「狼……」
彼女は俺の胸の中でそっと笑んで涙を流した。
「さ、帰ろう? 皆のところへ……」
「はい……!」
弥生の装束は再び光となって元の巫女装束へと戻った。
俺たちは、新たに上る朝日を背に受けて帰還した……
その後、俺たちは皆の歓声に出迎えられながら無事に陸へと降りたった。しかし、そのあとは千冬へ専用機持ちと共に呼び出されるはめとなる……
「作戦は完了……と、言いたいところだが? お前たちは重大な違反を犯した。帰ったらすぐに反省文の提出と、懲罰ようのトレーニングも用意してあるから覚悟しろ?」
「あ、あの……織斑先生? そろそろこの辺で……皆疲れていると思いますし?」
と、真耶。
「うむ……まぁ、今回は……よくやった。良く帰ってきた。今日はゆっくり休め?」
「「……?」」
と、専
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