最終話「天女の雫」※修正
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刻は深夜。上空には満月が浮かびその月光を背にある一つのシルエットが浮かんだ。覚醒形態となった弥生である。彼女はISにも劣らぬ速度で夜の上空を滑走し、その加速は止まることを知らない。
「くそっ! 下手に近づけやしねぇ……」
数キロ地点から指をくわえて見つめているのが太智たちである。
「このままだと迂闊に近づけない……」
清二はデジタルスコープで弥生の映像を見た。
「……本当に弥生ちゃんなのかよ?」
清二は、あの恐ろしい天女が本当に彼女なのかと信じられずに見ていた。後に蒼真から連絡があってそう聞かされてはいる。現在は専用機持ちと共に数キロ地点から身を隠して待機と言われていたのだ。
「清二、もう一度弥生の状況を……ん?」
ふと、太智のレーダーから狼の反応をキャッチした。
「狼!? アイツ……目を覚ましたのか!?」
太智は驚いて狼が飛んでくる方角を見つめた。すると、そこには両手に零を握りしめて突っ込んでくる狼の姿が見えた。
「狼!」
しかし、彼はこちらに気付くことなくそのまま彼らの前を通過して夜空を駆け抜けていった。そんな彼が向かう先は、あの弥生がさ迷う月光の差し照らす空である。
「待て狼! そっちは危険だ? 戻ってこい!?」
しかし、RSの最高速で突っ走る狼には彼らの声は聞こえず、また太智らも今からでは狼に追いつくことはできない。
「くそっ! 馬鹿野郎が……」
太智は、すぐに蒼真へ連絡を取るが、彼から帰ってきたのは意外な返答である。
『俺が許可した……あいつにやらせてやれ? 責任は全て俺がもとう?』
「……」
不安ではあるが、太智は黙って狼の向かった方向を見つめた。
「太智?」
と、彼の肩に清二が手を添える。
「ああ……そうだな?」
――狼、行って来い!
*
俺は、前方に見える弥生らしき女性へと突っ込んでいく。
「弥生! 俺だ、目を覚ませ!?」
大声で叫ぶが、彼女は俺へ振り向くなり途端に強いエネルギー波を起こした。
「ぐぅ……!」
その波動に触れれば徐々にシールドが削れてしまう。現に俺のシールドは10近くも削られてしまった。
「これは……!」
神の絶対領域ってやつか? だが、それでも……突き進むのみ!
「弥生!」
再び俺は突っ込んだ。そして強大なエネルギー波に飲み込まれる。徐々にシールドが削られて、ダメージが増していく中で、俺はあの技を叫んだ。
「絶対神速!」
そのまま一気に彼女の元へとたどり着き、その肌に触れようとするが……
「がぁ……!」
更なる強大なエネルギーが俺に押し寄せてこちらへ近づけさせまいとする。俺の絶対神速は彼女の一歩手前で止まってしまった。
ここからは……己自身の力で踏みださなくてはならない。
「や、弥生……」
シールドが削れる中、零も負けじともがき始め、シールドの減
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