最終話「天女の雫」※修正
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…『覚醒』ってなんですか!?」
その問いに神無が答えた。
「……我々、霊術を身に付ける者たちには、体内に秘められた強大な潜在能力を有している。それらは、目の前で起きた悲劇や衝撃によって覚醒され、見たこともない強大な霊力を持って暴走を起こしてしまうのだ……特に、弥生はこれまでの霊術者の中でも特殊で強大な力の持ち主だったのだ……」
「そ、そんな……!?」
「そして現在、弥生は力の限り暴走を続けている。このままでは彼女の身に危険が迫る」
蒼真の言う言葉に俺を目を丸くする。
「どういうことです!?」
「覚醒した潜在能力を使い果たせば……彼女の命は、朽ち果ててしまう」
「……!?」
「私ですら、彼女の強大な力には太刀打ちできない。現に先ほど身内である私が近づこうにも、彼女から伝わるとてつもない悲しみに満ちた霊気が壁を作って触れることすら叶わない」
「どうすればいいんです!?」
「方法は……一か八かだが、最も大切な存在に説得を呼びかけてもらうしかない」
と、蒼真。
――大切な存在……
俺は、そのまま無言で立ちあがった。
「どうした?」
蒼真が問う。
「弥生を助けに行きます!」
「よせ! 其方一人でどうこうできる話ではないのだぞ!? 後は私に任せろ?」
神無に引き留められようとするが、それでも俺は引き下がりはしない。
そして、二人に俺の本当の想いを伝えた。
「……弥生は、俺の大切な人なんです。彼女からして俺が一番かどうかなんて、そんなもん自身は無いです。けど、無謀だって言われても構わない。俺は、何が何でも弥生を助けに行きます!」
「……」
そんな俺の強い決心に蒼真は黙った。すると、彼も立ちあがってこう述べる。
「……行ってきてやれ?」
「蒼真!」
しかし、反対する神無はそんな蒼真の一言に反発する。
「大丈夫だ! お前ならきっと弥生を救える……お前は今まで弥生を何度も助けてきた。今回も絶対に彼女を救えるさ?」
「……はい!」
「狼殿……」
そこへ、神無が俺にゆっくりと頭を下げた。
「……妹を、弥生を頼む」
「はい、行ってきます……」
そして、俺はいざ向かおうと部屋を出ようとするが。
「おっと! 待ちな?」
蒼真が引き留めた。
「どうしたんスか?」
「パンツ一丁のまんまで外へ出るのか?」
「あ……?」
よく見たら、俺の身形はトランクスしか纏っていない。それに神無が先ほどから顔を赤くしている。
「着てきな?」
蒼真が俺に衣類を渡した。それは、ラルフやヴォルフが着ていたあの服と同じものだ。そして、清二と太智の私服でもある。
「……これは?」
「貧困地帯に住んでる連中が着ている服さ? 大抵俺たちもそれを着ている」
「あ、ありがとうございます!」
俺はその場ですぐにその私服へ着替えた。
時
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