最終話「天女の雫」※修正
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弥生!?」
「ッ……!?」
途端に彼女は刀を振りかざして俺に襲い掛かってきた。それを、俺はギリギリ避けるが、反応が遅れて肩を負傷してしまう。
「ぐぅ……」
血が流れ、痛みに堪えながら俺は叫ぶ。
「や、やめろ! 弥生、やめてくれ!?」
どうしてだ? 俺はどんなに叫んでも彼女は構わず俺に襲い掛かってくる。
――くそっ! どうすれば……どうしたらいいんだ!?
こちらには零がない。だから、今は避けるか逃げるしかない、だが、逃げたら逃げたで追いつかれてしまいそうだ。ここは、どうにかして彼女の攻撃を避け続けるしかない。
「くぅ……」
しかし、反射神経の鈍い俺は立て続けに攻撃をくらっていく。このままでは、こんな場所で死んでしまう……
「弥生! やめるんだ!? どうして俺と戦わなくちゃいけないんだ!?」
しかし、どんなに叫んでも彼女にあるのは、俺への殺意だ。
――どうしればいいんだ? どうすれば!?
俺は必死で彼女を説得させる案を考えだす、だが……
「っ……!」
今の彼女の目は普通ではない。俺を見るような目ではなく俺を完全に敵視する殺意に満ちた目なのだ。
「このままだと本当に……!」
「……!」
そして、俺の胸元は彼女の振り下ろされた刀に斬り付けられ、俺はその場に倒れた。
「ぐはぁ……!」
その痛みに耐えることができず。起き上がることができなかった。
「……本当に、このままだと……」
このままだと、本当に俺は死んでしまう。それも、好きな女の子に殺されて……
だが、俺は彼女とは戦いたくない。どうにかしてこの難を切り抜けないか?
――どうすればいいんだよ!?
……やっぱり、俺はここで死ぬんだ。ここで、彼女に殺されるんだ。
――俺が、何をやったんだよ!?
自分への被害妄想を膨らませる。俺は彼女を傷つけたことはない。が、それでも弥生は俺を憎んでいるのだろう……
――けど……
……けど、俺は立ち上がった。そして、目の前に刀を構える彼女に向けて大きく両手を広げる。
――君がどんな形で生きていても、俺は構わない。だから、俺を殺して君が満足を得るなら、それも本望だ……
そうだ。俺は弥生を心から好きでいられる。死ぬのは怖いし、痛みも恐怖に繋がる。けど、それでも彼女がこの先も幸せに生き続けてくれるのであれば、俺は彼女に殺されても構わないんだ……
「……!」
そして、弥生は剣先を向けて俺の胸に飛び込んでくる。そして……
「ぐっ……!?」
俺の胸を彼女の刀が貫通する。血が大量に流れだして足元に写る水面の空が赤く滲んでゆく。
「や、弥生……!」
しかし、俺は震えた両腕でそんな彼女の両肩を抱きしめた。
「っ……!?」
そんな彼女は、俺に肩を抱かれて両目を大きく見開いた。
「お前が俺を殺そうとも構わない……俺は、お前のこと
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