最終話「天女の雫」※修正
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「な、何だ! あれは!?」
弥生の変貌を目に、太智と清二は目を見開いた。
「弥生……なのか?」
太智は丸くした目で呆然とする。
「狼……」
弥生は、思い人の名を呟くと、己が身に纏う羽衣を眩く発光させた。その光は強大なエネルギー反応と共に周囲を飲み込んでいく。
「や、やべっ……!?」
清二が慌てた。弥生が羽衣から発するそのエネルギー波は全ての対象において大ダメージを与えるからである。
こうしている間にも太智と清二のRSはシールドエネルギーの半分を切ってしまう。
「清二! 一旦引き上げだ!?」
「あ、ああ……!」
二人のRS装着者は即時撤退を余儀なくし、二人は全速力で逃げると共に専用機持ち達にも通達する。
「お前ら! 今から急いで逃げろ!?」
「どうしたというのだ!?」
ラウラが、そんな太智の慌てように目を険しくさせるが、今の彼は冷静ではない。
「いいから早く撤退しろ!? 強大なエネルギー波に飲み込まれるぞ!?」
「エネルギー波?」
その言葉にラウラも胸騒ぎがした。彼女は太智の指示に従って他の専用機持ちらと共に戦前を離脱した。
そして、残されたのは弥生と、彼女と対峙する福音だけである。しかし、福音は先ほど彼女が発したエネルギー波によって大ダメージを受けていた。それでも、構うことなく彼女に向けて銀の鐘を食らわせるが、再び発した弥生のエネルギー派によって降り注ぐはずの銀の鐘のレーザー弾がエネルギー波に飲み込まれ、そのまま押し寄せる津波のごとく福音を飲み込んでしまった。
福音は、跡形もなく消し飛ばされてしまい、弥生は次のターゲットを定め始めた。
「狼……」
あんな兵器さえなければ、狼は死ぬことはなかった。今、彼女の中にはISに対する果てしない憎しみしかない。そして、この世からISを消し去ることを望んで彼女はこの上空を後にした。
*
「いったい何が起こった!?」
司令室にて、千冬は突然この近辺の空域に発生した強大なエネルギー反応に気付いた。
「わかりません……しかし、エネルギーの発生源はこの空域を離脱してこちらへ向かっています!」
真耶が叫んだ。
「くぅ……捜索隊の各教員半数は直ちに発生源付近へ急行せよ!」
「だ、ダメです! エネルギー反応によって通信ができません!!」
「くぅ……!」
――こんな時に……!
一夏達が無断で再出撃したことで教員たちで止めに向かうはずであったが、その途中で謎の強大なエネルギーを感知したとは予測もつかない事態であった。
俺が目を覚ました時には、そこは真っ青な世界が広がっていた。頭上の空は透き通るほどの美しい大空が雲と共にどこまでも広がり、足元にはその上空を移すかのように透明な水面が広がっている。
――……ここは?
歩くたびに水面に写る空を歪ませながら、俺は辺りを見渡しなが
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