4部分:第四章
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第四章
「どう思われますか?」
「あの一家ですね」
「そして屋敷ですね」
「はい、どう思われますか?」
警部は後部座席にそれぞれ座る二人をバックミラーで見ながら尋ねた。
「やはり」
「殺してませんね」
「彼等はシロです」
二人はこう警部に答えた。
「彼等はベネットちゃんを殺していません」
「それは間違いないです」
「殺してませんか?」
「はい、断言できます」
「それはありません」
そうだとだ。二人は話すのである。
「どうやらベネットちゃんは殺されていませんね」
「他殺の可能性はないです」
「そうなのですか」
「あの息子さんですが」
役は彼について話した。
「非常に非協力的でしたね」
「家族の中で最もそうでして」
「彼はあまり明るい人間ではありません」
その人間性についてだ。役はもう見抜いていた。そのうえでの言葉だ。
「しかし悪人ではありません」
「違いますか」
「ベネットちゃんに対して何かをする様な人物ではありません」
それは違うというのである。
「ご両親もです」
「善人だというのですか」
「どちらかといえば。ただ」
「ただ?」
「隠していますね」
役の目がここで光った。
「何かをです」
「何かとは?」
「ベネットちゃんの遺体ですが」
今度は本郷が話す。
「どうなりました」
「検死も曖昧ですぐに埋葬されました」
そうなったというのである。警部はこのことも話した。
「それで今はです」
「墓を掘り起こすことは」
「それは絶対に無理です」
警部は言葉を戸惑うものにさせて本郷の問いに答えた。
「あの家は本当にです。警察にもです」
「圧力をかけていますか?」
「噂の様なことはありませんがそれだけの力があるんです」
実際にそうしたことをしなくともだ。そうしたことが可能である、そのこと自体が問題だというのだ。銃は持っているだけで効果があるということだ。
「あの家にはです」
「では掘り起こして調べることもですね」
「できません。検死も検死官達が彼等を恐れてです」
それでだ。検死がなおざりになったというのだ。
「急死で終わったのです」
「そうなのですか」
「はい、そうです」
「わかりました。では俺達もです」
「貴方達も?」
「俺達独自のやり方は使いません」
それもしないというのだ。本郷や役が使う術はだ。今回は使わないというのである。警部もこのことは契約する時に聞いていた。その力で事件を解決できると期待してなのだ。
だが、だ。ところがなのだった。彼等はそれを今回はあえて使わないというのだ。
そのことを話してからだ。本郷は言うのであった。
「頭でやりますんで」
「推理で、ですね」
「もう答えは半分出ていますから」
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