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Charlotte 奈緒あふたーっス!
卒業式
09 時空改変
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散」で拡声器を使って話しているかのように声が辺りに拡がっていく。

動揺している者たちにもそれは届いたようで「どうそれを信じろってんだよ!!」「そんなのあり得ないよ!」「厨二かよ」
などと思った通りの声があがる。

『いいか、これを見てから各自で判断してくれ。僕は先に向こうで待ってる』

自らの持つ能力「映像化(フィルム)」を使い、掌サイズに立体映像を映し出し、更に「拡散」の能力で超拡大する。

最後に、ステージ側で生徒達を導いている奈緒を見つめると、それに気付いたように彼女は威厳たっぷりの胸を張ってニヤッと笑った。

有宇はそれに安堵し、親指を突き立てて穴の方に振り向く。

「またあとで…だな」

ある一つの能力を除いてすべての能力を遮断(キャンセル)して流れに体を委ねると、それは物凄い勢いで有宇の体を吸い込んでいく。

ギザギザに捻れる暗黒が視界の端に入ったかと思うと、それは体を意外にも温かく包み込み、奥へ奥へとさらっていく。

ふわふわと浮かび、ゆっくりと飲み込まれていると、いつの間にか体は体育館のステージがあった側を向いていて、自分が入ってきた穴の光が小さくなって行くのが視認出来ている。

その光にたまにチラチラと影が差すのは、人や物が吸い込まれてきた瞬間なのだろう。

有宇はその光に手を伸ばしてみるが、ゴム人間でも無い限り届くことはないだろう。

その光をギュッと握り潰し、自分の胸元へと運ぶ。

だがそこで、有宇は異変に気付いた。

「あれ?」

握ったその後から、空洞の入り口から見えていたはずの光が完全に消えた。

そんなはずはない。有宇が未来を見た限りでは完全移行シークエンスの発動まであと一週間はあるはずなのだ。

だのに、光点が有宇の視界から消え…

「ブハッ…」

有宇は急に何か温かくて柔らかい物に包まれる。

息が出来ない程にそれは有宇を締め付け、脳の思考回路と判断能力を鈍らせる。

こんな未来は見てないはずなのに、また能力が弱まっているのかと考えていると頭上から声がした。

ちなみにこの間コンマ5秒。

「有宇くんみーっけ!」

「はぁ?」

見上げるとそこには人の顔の輪郭が見てとれるが、さすがにこの暗闇で見えないため暗視能力を使う。

その視界の先には見まがいようもない有宇の恋人、友利奈緒がいた。

有宇の体に巻き付く両の足、肩に置かれた両の手。

ルックスもスタイルも整っている彼女は、再び有宇の視界を塞ぐように抱きついてくる。

「有宇くぅん、こんなとこでも一緒に居られるなんて、やっぱり運命ってあるんスね」

そう耳許で聞こえたような気がしたが、今有宇の耳には何も入ってこない。

胸が…胸がががが

「ぷ
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