卒業式
07 帰還
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動の能力を使うからですよー」
少女がからかうと、頭を掻く少年はにっこりしてそれに応える。
「あはは…。覚えてないけど、そうしなくちゃいけなかったんじゃないかな」
「あなたのことですからそれくらい分かってますよ。それ以外どう考えろというんですか」
抑揚をつけて言う奈緒の心情は有宇には伝わるはずもなかった。
何故なら奈緒は記憶を失う前の有宇と話したことを思い出していたからだ。
『ああ、僕はただのカンニング魔だからな』
「っ…!!」
青空から声が降り注いだように感じた奈緒は思わず声を漏らしてしまう。
「また、泣いてる…。君、凄く泣き虫なんだね」
奈緒は自分の心を覗くようにして現れたその声に心臓をキュッと握り潰され、声をあげて泣いている。
「全部、有宇くんのせいなんだからああああああ…」
「僕のせいなの?分からないけど、ごめんね」
有宇が彼女の頬に手を添えたまま親指で涙を拭い、その手を奈緒の頭へと移動させてポンポンと撫でる。
「バカ…ばかぁ…ばかぁ…有宇くんのアホぉ…」
寄り添う有宇の胸を叩く奈緒はひた泣き続けた。
そのまま十数分、奈緒が泣き止むまで有宇は彼女に肩を寄せて頭を撫で続けた。
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