第三話
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現在の攻略済み階層は70階層。
俺がデスゲームとなったSAOに囚われてから、約一年半が経過していた。
数日前に第二層で救出したシノンは、キリトから以前聞いた、新たなプレイヤーの一人だった。
「医療用のメディキュボイド。とかいう装置をカウンセリングで使っていたら、気が付いたらゲームの中に居たんです。」
とのシノンの言葉から、新たなプレイヤーというのは、医療用メディキュボイドを使用している人々だと分かった(全員がそうとは限らないが)。
ということは、街中に居たにも関わらず、消滅したプレイヤーは、きっと病気が重く、残念ながら病死してしまったのではないだろうか。あくまでも推測に過ぎないが・・・
「誰かがクリアすれば、皆脱出できる。シノンは安全な街で待っていた方が良い。」
俺はシノンにそう提案した。無理にモンスターと戦う必要は無いし、今から攻略に参加するには、一人じゃ無理だ。
「嫌。私も攻略に参加したい。助けてくれた事には感謝していますが、この世界でどう生きるかは、私の自由です。」
拒否された。どうしても攻略組に参加したいらしい。
「今、最前線が何層か知ってるのか?今から攻略に参加したいなんて、かなり無茶だぞ?この前みたいに危ない目に合う事だってある。」
と、俺は忠告する。
「強く、なりたいから。私は強くならなくちゃいけないんです。誰にも負けないくらい。攻略組に参加して数多の強力なモンスターと戦って勝てば、その強さが証明出来ると思うから・・・」
との事。
とはいえ、レベルが低いうえ、SAOでの常識やら戦い方が分からない現状では、速攻で無駄死にしてしまいそうだ。
「なら、しばらくの間、レベル上げを手伝ったり、戦い方を教えよう。」
せっかく助けたのに、速攻で死なれちゃ、俺も後味が悪いし、何より・・・いや、何でか放っておけなかった。彼女から漂う悲壮的な雰囲気や強気な姿勢、それが虚勢に思えたからか。
「借りは作りたくないから、大丈夫です。それに、死んだらそれまでだったって事ですから。」
イラっとする。
「この前助けた事で借り一つだろう?まずそれを返してから、そういう事を言ってほしいものだな。」
と返す。
「・・・分かりました。借りをお返しするまで、よろしくお願いします。」
渋々だが、受け入れてもらえたようだった。
「あぁ、よろしく頼む。」
俺はシノンにフレンド申請を行い、彼女がそれを受諾する。
「あぁ、それと、敬語は遣わなくて大丈夫だ。たぶん、年も近いだろう。」
敬語を遣うのは苦にならないが、遣われるのは慣れていない。しばらく行動を共にするのだから、お互いあまり気を使わずにいたい。
「・・・分かったわ。えと、因みに何歳なの・・・
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