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新オズの腹ペコタイガー
第八幕その三

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「あの娘のね」
「好みの」
「そう思うわ、ただ」
「ただ?」
「ジャポニカ米も美味しいのよね」
 ここでこうも言ったドロシーでした。
「あちらはあちらで」
「お握りやお寿司にしたら」
「美味しいわ」
「あとあの糸を引いたお豆の」
「納豆ね」
「僕最初あれを見てうわ、ってなったんですが」
 その納豆のお話もするのでした。
「あれにも合いますね」
「そうなのよね、納豆もね」
「匂いは強いですが」
 それでもというのです。
「味はあっさりしていて」
「美味しいんですよね」
「実はね」
「糸がひいていてねばねばしていても」
「あのあっさりさは凄いわ」
 ドロシーもこう言うのでした。
「本当にね」
「そうですよね」
「不思議な食べものよ」
「日本には不思議な食べものが多いですけれど」
「納豆は特に不思議ね」
「僕もそう思います」
「何かそうしたお話してるとね」
 臆病ライオンは大きな舌を出してお口の周りを舐め回してから言いました。
「お昼に御飯食べたくなったよ」
「あら、じゃあお昼は御飯ね」
「それにする?」
「そうしようかしら」
「それがいいかもね」
 こうしたお話しながらです、皆はウィンキーの国を西に西にと進んでいきます。カルロスは道の左右のウィンキーの黄色い家たちを見ながら言いました。
「そろそろお昼ですね」
「もう少ししたらそうするわ」
「そうですよね、それでなんですが」
「私達がこれから行く場所ね」
「そこは何処ですか?」
「西に西に行った場所よ」
「このウィンキーの国をですか」
 カルロスはこう尋ねました。
「さらにですか」
「そうなの、ジャックのお家やかかしさんのお家を越えてね」
「西に行くの」
「そうして進んでいけばですか」
「とても広い水田が見えるから」
「そこが、ですね」
「私達の行く場所よ」
「マリューさんっていう人がその水田の主なんだ」
 かかしもカルロスに説明します。
「オズの国で一番美味しいお米を作ると評判の人でね」
「実際に凄く美味しいんだ」
 臆病ライオンも言います。
「オズの国でもね」
「本当に一番なんだね」
「そうなんだ」
「だからね」
 それでというのです。
「僕達は今からマリューさんのところに行くんだ」
「その人のお家がもっと西に行けばあるんだね」
「黄色い中に緑の水田があるから、いや」
 臆病ライオンは自分のその言葉を訂正して言いました。
「もう収穫時かな」
「じゃあお米は緑じゃないね」
「黄色くなっているね」
「金色って言うべきかな」
 カルロスは微笑んで臆病ライオンにお話しました。
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