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素顔の正義
7部分:第七章

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第七章

「しかし私はやましいところはありません」
「だからか」
「辞めません」
「いいのか?奸元総理は手段を選ばない人物だぞ」
「それも御自身のことにですね」
「それでもいいのだな」
「半年で戻って来ます」
 期限まで言ってみせた北條だった。
「では」
「左遷先は鹿児島だ」
「そこですか」
「鹿児島県警で。まあ役職はだ」
「何かの名誉職ですね」
「そうなる。一応はな」
 あくまで一応だ。だがその閑職だけでは終わらない。少なくとも奸はそのつもりだった。しかしそれでもだというのだ。北條は。
「ですが半年です」
「鹿児島を楽しむのは半年か」
「それで戻って来ますので」
 こう言い残してだ。北條は一人鹿児島に向かった。彼を妬み嫌い憎む面々はこれで彼は終わったと思った。しかしだった。
 その半年後だ。北條はだ。
 戻って来た。そしてその時にはだ。
 奸は終わっていた。例のならず者国家との黒い関係、献金を受けていたどころか献金を送っていたことまで発覚してだ。
 尚且つ震災の際の原発に関する怪しい行動も一連の国政を混乱させた行動もだ。全てその国の指示でやったことまで発覚したのだ。つまりは。
 その国の工作員であることが公になったのだ。これによってだ。
 奸のいる政党全体にもそうした工作員が多くいることも発覚しておりだ。すぐに議会は解散となり総選挙となった。最早そうなるしかなかった。
 そしてだ。その政党は無惨に敗れだ。多くの者が議員資格を失った。
 それから多くの者、当然奸も外患誘致罪で逮捕され裁判にかけられることになった。そこには多くのマスコミ関係者や弁護士、運動家もいた。
 まさに日本の大掃除になった。それが終わった時にだ。
 北條は中央に戻って来た。そしてだった。
 彼はだ。さらに出世してだ。警察庁長官に手が届く距離にまで来た。
 その彼にだ。彼の直接の上司、そのトップが言った。
「また凄いことをしてくれたな」
「何がでしょうか」
「今我が国は大騒ぎだ」
「そうですね。一国の宰相が他国の工作員だったのですから」
 北條は素っ気無く答えた。トップの席の前に立ったままで。
「騒がない筈がありません」
「そうだな。元総理は死刑になる様だな」
「あそこまですれば当然ですね」
「君を陥れるつもりが本人が縛り首になるか」
 そのことについてだ。奸は心底怯えだ。取調べで責任転嫁を繰り返しているとも伝えられている。

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