救世主
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見てレオンは足を半歩引く。
「来る!!」
彼の魔力の流れに意識を集めていく。一瞬でも動きを見落としてしまえば、おそらく瞬殺されてしまう。一部の隙も見せることはできないと待ち構えるシリル。だが、
クルッ
そんな彼のやる気を削ぐかのように、レオンが背を向けた。
「なっ!?くそっ!!」
ナメられたのか?はたまた何か狙いがあるのか?なぜわざわざ背を向けて、相手から視線を反らすのか?シリルにはそれが解せなかったが、今はこのチャンスを逃してはならないと突進する。
罠とも知らないで。
「うあっ!!」
1歩踏み出した途端、頬が、肩が、左の太ももが、切り裂かれるような痛みを感じた。そこからはさっきほどではないが、血が出ているのを触れてみた手を見て確認する。
「う・・・ウソ・・・」
レオンは彼のやる気を削ぐために背を向けたのではない。すでにシリルへの攻撃が済んでいたから、もう相手にする必要がなかったから、そのように動いたのだった。
「そんな・・・」
目の前が滲んでくる。痛みじゃない。苦しいからじゃない。ただ悔しくて、彼は目を潤ませていた。仲間のために勝たねばならなかったのに、それを叶えることが出来なかった自分が情けなくて、大粒の涙を流したのだった。
「く・・・そ・・・」
手を力強く握りしめて、それを震わせる。そして彼はガムシャラに金髪の少年に向かって駆け出す。
「あああああああ!!」
パシッ
水と風を纏わせた、今まで何人もの強敵にを打ち勝ってきた拳は、その少年の前には無力だった。
「もうやめよう。これ以上は無駄だよ」
「くっ・・・」
掴んだシリルの手を投げるように離すレオン。シリルはふらつきながら、彼との距離を置く。
「別にいいじゃん。まだラクサスさんもエルザさんもいる。俺よりも強い人はそっちにはいるんだから、その人に任せちゃいなよ」
その体じゃもう限界だろ?と付け加え、シリルに降参するように諭すレオン。そんな彼の言葉にシリルは首を振る。
「出来ない・・・例え負けるとわかってても、降参は絶対に出来ない!!」
頭を上げた反動で、彼の目に溜まっていた涙が弾け飛ぶ。
「みんな傷だらけでも頑張ってる!!エルフマンさんもウェンディも、辛くても降参しなかった!!だから俺も・・・絶対に降参なんかしない!!」
シリルがそう言うと、レオンは大きく息をつき、何かの決心を固める。
「わかった。じゃあこれで終わりにしてあげるよ」
体を捻り、頬を大きく膨らませるレオン。それを見たドムス・フラウの人々に緊張が走った。
「まさか・・・ブレス!?」
「このタイミングで!?」
マカロフとロメオはレオンのまさかの判断に目を疑う。
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