救世主
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「さっすが!!それでこそシリルだよ」
興奮気味にそういい、レオンは両手を広げてみせる。
「俺もやっとみんなと同じ土俵で戦えるんだ。評議院の連中に見せてやりたいぜ」
かつて自分をバカにした評議院。しかし、彼はそんな評議院の考えていたものを越えた。自分ではシェリアと並べない。いとこであるリオンにも及ばない。その考えを彼は自分自身の力で退けた。
ただ、彼は勘違いしている。自分の力が当にシェリアとリオン・・・いや、それどころか、大陸で10本の指に入るジュラさえも凌駕していることを。
ようやく彼らに並んだと思っているレオン。実際にはこの大陸の全ての魔導士をも越えて、別の土俵に入っているとも知らずに、彼はシリルとの戦いを楽しみにしていた。
(でも・・・おかしいよな・・・)
痛みで息も絶え絶えのシリル。彼はさっきのレオンの動きを見て何か違和感を感じざるを得ない状況だった。
(魔力の溜めが早くなったのはわかったけど・・・だからってあれだけスピードが増すなんて・・・絶対おかしい)
レオンは初め、魔力を集めるのが下手で、その分攻撃などの速度を上げているとシリルは感じた。だけど、下手だったものが自分たちと同レベルになったくらいであれほどまでに速度が上昇するだろうか?
(それはない!!絶対ない!!となると・・・)
シリルの頭の中にある結論が浮かんだ。たぶん・・・いや、間違いなくこれが理由だとシリルは確信した。
(レオンは魔力を溜めるのが遅かったから、速く動けなかったんだ!!)
レオンは魔力が必要な部位に上手に集めることが出来ずにいた。そのせいで本来彼の出せる限界の速度まで引き上げることができず、シリルがついていけるレベルだったのだと。そして今、レオンは魔力を溜める速度が通常の魔導士レベルになったため、自身の限界まで攻撃や移動の速度を上げることができるのだと。
「化け物じゃねぇかよ・・・」
これがレオンの本来の力。本来の能力。自分がさっきまで戦っていたのは、彼の限界に全く届いていない少年の力の一部だったのだと知ったシリルは、思わずそう呟いた。
(勝てるのか?・・・いや・・・)
頭の中に浮かんでくるのは今、自分と同じように戦ってくる仲間たちの顔。さらには囚われてしまった女性と、それを救出するために向かった桜髪の青年と銀髪の女性。そして・・・
「ウェンディ・・・」
自分が愛してやまない最愛の少女。
「勝つ!!」
迷いを全て捨てて、目の前の敵に全神経を集中させる。
(俺の目が追い付けない敵なんかいるわけない。ヴァッサボーネがエドラスのヴァッサボーネを通じてまで俺にくれたこの目が・・・負けるはずない!!)
父を信じ、自分を信じる。その真っ直ぐな瞳を
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