救世主
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肝を抜いた彼の所属するギルド、蛇姫の鱗でも皆固まってしまっていた。目を回していたはずのトビーですら、その衝撃に目の焦点がしっかりと合うほどの出来事だったのだから。
「こ・・・これは・・・」
レオンのことをかなり高く評価していたオーバ。彼女はずっと指をクルクルと回転させていたはずなのに、その仕草を忘れて固まってしまっていた。
「私の予想を遥かに越えてたねぇ・・・レオン」
自分でもレオンはかなり高く評価し、ジュラをも越えると言っていたオーバ。だが、彼女は彼の底知れなさを見て、自分が彼にしていた評価がまだ低かったことを認識していた。
「しょ・・・初代!!これはどうすれば・・・」
妖精軍師と呼ばれた頭脳を持つメイビス。彼女にどうすればレオンに対抗できるのか聞こうとしたマカロフは、隣に立っている少女の姿を見て、言葉を飲んだ。
「そんな・・・魔力の溜め方がわかったくらいで、ここまでスピードが増すなんてこと・・・」
そう言う彼女の目尻にはいっぱいの涙が溜まっていた。
「も・・・もう私の手に負えません・・・グス・・・」
「だ・・・誰か!!初代を全力であやせ!!」
自分の計算を越えてしまったレオンを前にし、もはや計算することすら出来なくなったメイビス。だが彼女は知らない。レオンを倒すことより、自分をあやすことの方が難しいということを。
「くっ・・・うぅ・・・」
ボタボタと血を垂らしながら、地面に手を付いてなんとか立ち上がろうとするシリル。しかし、
「うっ!!」
体のダメージが大きすぎて、崩れ落ちてしまう。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
それでもなお、立ち上がろうと体に力を入れていくシリル。それに気付いたレオンは、彼の方をゆっくりと振り向く。
「まだ動けるんだ。やっぱりすごいよ、シリル」
至るところから血を吹き出しているにも関わらず、起き上がって敵に勝負を挑もうとするシリルに、レオンは感心していた。
「でも、もうやめた方が良くない?これ以上やったら危ないと思うよ」
優しく忠告するレオン。しかし、シリルはそれに何も答えずに、痛む脇腹を押さえながらなんとか立ち上がる。
『妖精の尻尾のシリル!!なんとか立ち上がりました!!まだ戦える模様です!!』
先程までの真剣な眼差しから一転、苦痛と絶望感に苛まれたような表情のシリルは、水色に輝く瞳をできる限り開き、レオンを見据える。
「悪いけど、俺は・・・絶対に・・・諦めないよ・・・最後の最後まで・・・」
それを聞いたレオンは口元を緩ませる。
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