十六話:現実と将来
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八神家では現在新しく増える家族の名前付けで大忙しだった。
皆、思い思いの名前を上げていくが議論は白熱していくばかりである。
このままではいつまでたっても終わらない。
そう感じた切嗣はことの発端の原因である女性に話を向ける。
「アインス、君はどんな名前がいいと思う?」
「だな、アインスが一番権利がありそうだしな」
「わ、私か? その……恥ずかしいんだが……」
急に話を振られ、若干頬を染めながらアインスは口を開く。
彼女が口にした名前は―――
「ドラゴンズロアー!」
『却下だな』
なんだか格闘ゲームの技名として出てきそうだったので全員一致で却下された。
自信があったのか軽く傷ついて膝をつくアインス。
そんなアインスを励ます様に白く小さな動物が彼女の肩に乗り頬を軽く舐める。
「ああ、お前は優しいな……やっぱり、ドラゴンズロアーで―――」
白い動物、ハネキツネはそっぽを向いて彼女の肩からはやての肩へと移動した。
どうやらドラゴンズロアーはお気に召さなかったようである。
アインスはさらにへこみ今度は床にへのへのもへじを書き始めた。
「しっかし、ハネキツネなんて珍しい生き物をよう拾ってきたなぁ、アインスは」
「そうだね、ハネキツネは日本では珍しいからね」
「よくと言われましても……雨に濡れて寒そうにしていたので、可哀想で」
このハネキツネ、まるで捨てられた子猫のように段ボール箱の中で雨に濡れていたところをアインスに拾われたのだ。
そして、はやてがそのまま飼ってしまおうと即決した次第である。
「大変よ、みんな!」
「どうした、シャマル? こいつに何か病気でも見つかったのか?」
「それは調べてみて大丈夫だったんだけど……その子―――女の子だったみたい!」
「なっ!? 五右衛門ではダメだというのか!」
「シグナム、おめー、なんで五右衛門に拘ってんだよ」
「剣の道を志すなら、一度は憧れる方だ」
「しかも、斬鉄剣の方かよ。てっきり釜茹でにされたほうかと」
何はともあれ、今までの案は全て男の子に付けるものだったので廃案となってしまう。
そこで逆に元気を取り戻したのはアインスであった。
男の名前は却下されたが、女の名前ではまだ落ちていない。敗者復活である。
因みにであるがはやての案はアーサーであった。
しかし、切嗣が自分の国すら守れなかった奴の名前は可哀想だと反対してお蔵入りとなった。
「なにかいい名前が……」
頭を捻らせたアインスの元に天啓が下りてくる。
なぜか、やたらと身近な響きに感じるこの名前こそがふさわしいと思い口にする。
「―――ナハト」
その名前に反応してハネキツネが再びアインスの肩に
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