十六話:現実と将来
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いという現実を突き付けられた。
それでも、目の前に居る誰かを救い続けていくしか自分にはできない。
「ねえ、アルフ……。あの子ね、最後に『ありがとう』って言ってくれたんだ。でも、私はあの子を助けられなかった。名前すら分からない。そんな私がこんな綺麗な言葉を受け取ってよかったのかな?」
助けると言ったくせに、できたことはあの子を抱きしめてあげることだけだった。
そんな弱い自分に果たして感謝の言葉を受け取る資格があるのか。
あんなにも救われたような笑みを向けられてよかったのか。
フェイトの中にはそんな救えなかった故の苦悩があった。
アルフは彼女の言葉に一瞬哀し気に顔を歪めた後に彼女を優しく抱きしめる。
「何言ってるんだい。フェイトが受け取ってあげなかったら、誰が受け取れるんだい?」
「そう…かな?」
「そうだよ。第一、フェイトが受け取らなかったらあの子の気持ちはどこに行くんだい。フェイトが受け取ってずっと覚えていてあげることがあの子にとっての幸せにもなるよ」
決して死んだ者の顔を、言葉を忘れない。それこそが生き残った者にできる最大の弔いだ。
それに最後の言葉を受け取らないというのは余りにも酷いではないか。
そう、思い直しフェイトはアルフから離れて目じりに溜まっていた涙を拭く。
「そうだね、ずっと覚えていよう。それで、次はちゃんと救えるように頑張っていく」
「その意気だよ、フェイト。じゃあ、そろそろ帰ろう」
「うん。……また、来るからね」
フェイトは最後に一言、犠牲になった子ども達にそう残してアルフと共に背を向ける。
彼女達が去った後には供えられた花が風に揺られるだけだった。
「いやー、教導隊が合うとは思ってたけど本当に教導隊になるとわねぇ」
「後輩として歓迎したいところだけど、もう私達はやめているからね。ごめんなさいね」
「い、いえ。リーゼさん達には色々とお聞きしたいことがありますし」
閉店後の翠屋の一角にリーゼ達となのはが向かい合って座っていた。
なぜ、この三人が共にいるのかというとだ。
丁度、なのはの教導隊入りが決まった時期とグレアムがはやてを尋ねに来た時期が重なり。
丁度、先達に当たるリーゼ達に色々と聞いてみたらどうかとはやてが提案したのだ。
そして、なのはの両親も娘の将来に関わることなのだからと言ってこうして閉店後の翠屋を開けて自慢の洋菓子を提供しているのだ。
「それで、何か聞きたいことはある?」
「えっと…すっごく単純というか大まかな質問なんですけど、どんな風に人を教えたらいいかなと」
「とにかく、徹底的にボコボコにして体に覚えこませる」
なのはの質問にロッテがケーキをパクリと口にしながらこともなげに言い放
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