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クロンペン
第一章

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                 クロンペン
 オランダは西欧の中でもかなりの先進国だ、人口は少ないが産業は発達していてその生活は豊かである。
 だがよくだ、世界からこう言われている。
「何で水車とか運河とかばかり言われるのかしら」
「イメージだろ」
 憮然した顔で言うクリスティーネ=ブラウにだ、交際相手のホセ=ヘンドリックスは話した。
「オランダだからな」
「昔から貿易とかで豊かでね」
「努力してそうなったな」
「けれどイメージは」
「世界から見たら」
「水車にチューリップにね」
「あと運河な」
「確かに多いけれど」
 そうしたものはというのだ。
「私から見てもね」
「けれどなんだな」
「そればかりじゃないわよ」
 オランダはというのだ。
「産業もあるわよ」
「港も賑やかでな」
「けれどなのね」
「ああ、水車とかだな」
 また言ったホセだった。
「どうしても」
「それだけじゃないっていうのは」
「いつも言ってるな」
「この通りね」
 ブロンドの長く伸ばしたと深い緑の瞳を持つ高い鼻の顔で言うクリスティーネだった。背は一七四あり一八五のホセと一緒にいても引けを取らない高さだ。もっともホセはレスリング選手の様に見事な筋肉を持っていて顔も逞しい感じであるが。
「言ってるわよ」
「けれどな」
「言ってもなのね」
「仕方ないだろ」
 こう言うホセだった。
「やっぱりな」
「イメージはっていうのね」
「中々払底出来ないからな」
「それも強く定着していたら」
「そうだよ、むしろな」
「ええ、むしろね」
「そのイメージを」
 こうクリスティーネに言うホセだった。
「どう使うか」
「それが大事なの」
「今回の仕事はな」
 二人は交際相手だけでなく仕事上のパートナーでもある、同じ貿易会社に勤めていて仕事の話もしているのである。
「それをどう使うか」
「そのオランダのイメージを」
「そう、どう使うかだよ」
「そうね、観光客の人達にもね」
「オランダをアピールするんだ」
「オランダの料理も」
「オランダの料理というとな」
 これはというと。
「皆何も言わないからな」
「そうなのよね」
「誰も知らないな」
「まずいって評判ね」
「世界的な、けれどな」
「その評判をね」
「覆してな」
 そのうえでというのだ。
「売上を上げる」
「その為にも」
「今回の仕事は成功させないとな」
 何としてもと言うホセだった。
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