暁 〜小説投稿サイト〜
この異世界に統一神話を ─神話マニアが異世界に飛んだ結果─
03
[3/4]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
ちに、妙に詩的な物言いをするようになってしまった。なかなか治らない悪癖だ。
そういえば、名前が先で名字が後なんだな。
「言い忘れたが、煌我の方が名前だ」
「ん……コウガ、って呼んでも言い?」
「問題ないよ」
「ありがとう、コウガ」
本の少し発音に違和感があったが、青色の彼女は俺の名前を呼んだ。少しこそばゆいな。俺ことをファーストネームで呼ぶ女の子は居なかったからな……。
というか、なんで言語が通じているんだ? さっきから気になっていたのだが、明らかに喋っている内容と口の動きが違う。
そもそも、ここは本当に俺の部屋なのか? ドアが空いているが、その向こうには俺の部屋があるアパートの階段は明らかに見えない。というか洞窟があるように見える。
「……なぁ、アルブルートさん」
「シェラでいい」
「お、おう」
弱ったな。女性の名前を呼ぶのは凄い苦手なんだが……仕方ない。
「し、シェラ。ここは……どこなんだ?」
その問いを投げ掛けると、シェラは驚いたのか、目を見開いた。灰色なんだな、目の色。
彼女は小さく「知らない……? やっぱり……」等々と何事かをごにょごにょと呟くと、少ししてから答えた。
「ここはガルシェの無人島」
「え、ギリシア?」
「ガルシェ」
……訂正されてしまった。うーん、最初はギリシアって聞こえたんだけどなぁ……。
「そのガルシェ? の無人島に、何故俺の部屋が?」
「分からない」
……ふむ。理由は不明、と。
「……あなたも、ここにいた理由は分からない……?」
「ああ。確か部屋で何かをしていたら気を失って……あれ、何してたんだっけ……うっ……!?」
ずきり。
気を失う直前にやっていたことを思い出そうとする俺の脳を、奇妙な熱が襲った。痛い。これはダメだ……!
「……大丈夫?」
「ああ……悪い、直前に何をしていたか思い出せないんだ」
「そう……無理しないで」
優しい
娘
(
こ
)
だな。やっぱり俺の感じた通りだった訳だ。
きっと彼女が、倒れていた俺を助けてくれたのだろう。しかしそうなるとなおさら、どうして彼女がここにいるのかが謎になってくる。
「シェラはどうしてここに?」
「……ガーゴイルに襲われて、落ちた」
……は?
「ちょっと待て、ガーゴイル?」
「そう。かなり保存状態がいいガーゴイル」
「いや、そうじゃなくてだな」
ガーゴイルは、館や宮殿などを守護する石像の事だ。同類はスフィンクスとかだろうな。昔からよく『動く』伝説がついている事が多い。多いのだが……マジで動くなんて言うのは聞いたことがない。
「神話魔法で応戦しようと思ったんだけど……失敗した」
「魔法……!
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ