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この異世界に統一神話を ─神話マニアが異世界に飛んだ結果─
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ボンと、どこか違和感のある素材のシャツで覆っている。さらにその上から白衣を羽織っていた。
髪の毛はボサボサの癖毛だ。色は黒。目は閉じられている。
そして何より──その頭から、血を流していた。部屋の床に頭から倒れて激突したのだろうか。
兎に角、先ずは止血をしなくては。
「──『
簡易治癒
(
デミヒール
)
』」
発掘魔法の中に、応急処置用の魔法があって本当に助かった。回復魔法師達の操る回復魔法の劣化版に過ぎないが、止血には十分だ。後から強力な回復魔法をかければ──
「……っ!」
しかし、シェラのその想定は無駄になった。
何故ならば、『簡易治癒』を受けた瞬間、ものすごい勢いで青年の傷が治り始めたからだ。『簡易治癒』にこれほどの回復をなすことは、一流の魔法使いがこの魔法を行使しても不可能だ。
「……嘘……いくらなんでも、早すぎる……?」
変だ。
そもそも、何故こんな遺跡の奥深くに部屋があって、そこに人間の男性が転がっているのか。ここはどこなのか。この男は誰なのか──
そんな事がシェラの駆け巡っている間に。
「ぐ、うぅ……」
「……!」
青年が、目を覚ました。
***
「……大丈夫?」
優しい声がした。
静かな声だ。人によっては、冷たい声だ、と言うかもしれない。でも、俺には優しい、慈愛のこもった声に聞こえた。
「……ああ、多分……」
無意識的に、そう返した。
「……よかった」
また、あの声。静かで、優しい声。メゾアルト、と言うのだろうか。俺の耳に、よく合う女性の声──
──女性の声?
目を開ける。始めは合っていなかったピントが合い始める。視界に写ったのは、心配そうにこちらを除き混む、髪の長い女性。西洋人、の様な気がするのだが、何か違う気もする。20歳前後か。物凄く可愛い。憂いを帯びた表情……まぁぶっちゃければ無表情だ。
何よりも──髪が、青い。水色、あるいは空色と言うのか。美しい青色の髪の毛。そんな色の髪は、これまで見たことも聞いたこともない。いや、神話とか創作物の中じゃぁ普通なのだが……ここは現実だ。
──いや。本当に現実なのだろうか? 俺の見ている夢か何かでは無いのか。
「君は……誰だ?」
「……あなたこそ」
少しむっ、としたような表情を取りながら、女性は俺に言う。そうだな、女性に先に名乗らせるのは失礼かもしれない。
「悪い。俺は煌我……日登煌我という」
「ヒノボリ・コウガ……? 私はシェラ。シェラ・アルブルート」
シェラ、か。綺麗な名前だ、と、率直に思った。我ながら気持ち悪い考えだな、と思うのだが、神話やら童話やらを色々読みふけっているう
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