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この異世界に統一神話を ─神話マニアが異世界に飛んだ結果─
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はないか。
父が産み出した発掘魔法の一つ、『坑道作成』。これがあれば、大量の道具や難しい計算を必要とせずに坑道を作ることができる。もっとも、坑道を作成できる材質の強度などは使い手に左右されてしまう。シェラではこの遺跡の岩が限界だろう。岩よりも魔術的・物理的に硬い、神殿の材質である神代の物質を削ることは難しい。逆に言えば、だからこそ安全に採掘ができる。
暫く掘り進んでいくと、大きな空洞が出現した。
「これは……」
シェラは息をのむ。
保存状態がかなりいい。長い間空気に触れていなかったのだろう。
その空洞には、一体の『ゴーレム』が存在していた。
ゴーレムは魔術の力で自動的に動く、魔導生物と呼ばれる存在だ。こう言った神代の遺跡には、ゴーレムが配置されていることが多い。得てして、そういったゴーレムは『ガーゴイル』と呼ばれていた。
保存状態が良いため、ガーゴイルの造形を細かく知ることができた。
漆黒の鎧を纏った、これは騎士だろうか? 非常に細かい装飾が施されている。腕が大きいのは、肉弾戦を繰り広げる戦士を模して作られたからだろうか?
「凄い綺麗なつくり。これだけでも、大発見」
ゴーレムは現代でも作られている。これまでに発見されてきたガーゴイルの造形は、それら現代ゴーレムの参考にもなる。そしてこれ程までにほぼ完璧な保存状態を保ったガーゴイルは、これまでに聞いたこともない。ゴーレム師達への多大な支援になるだろう。
出来れば、持ち帰りたい。発掘魔法のなかに存在する、こう言った物資を収納するための魔法を発動しようとした、その瞬間。
──ギィン。
「……っ!?」
ガーゴイルの
単眼
(
モノアイ
)
に、光が灯った。
「嘘……動く、の……っ!?」
発掘されたガーゴイルが動き出すだなんて、聞いたことのない事例だ。想定すらしていなかった。シェラは慌ててガーゴイルから離れる。
しかしガーゴイルはガシャガシャと機動音を鳴らしながら立ち上がり、シェラに向かってその豪腕を降り下ろす。
「……っ!」
間一髪で回避。壁が大きく破損する。この一撃を受ければ、間違いなくシェラは死ぬだろう。こんなところで死んでは、この二年間支援してくれた友人に、申し訳が立たない。
その一心から、シェラは己が最も上手に使用できる神話魔法を発動させた。
「青き水流よ荒れ狂え。宿りし意思よ、我を導け──『ブルー・ジン』」
祝詞に導かれ、
知的精霊
(
ジン
)
の力がシェラを助ける。彼女の両手を中心に、何処からともなく水の玉が出現した。
水玉の中では、激しく水流が渦巻いていて、これを使えばガーゴイルを足止めできるだろう。
──しかし。
シェラは、躊
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