第1章 幻想御手編
第4話 幻想御手
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が出てきた。
「あ、これ」
「お前たちから貰ったんだが、甘ったるくてな……やる」
あ、確かに一つ食べてある。
「さあ、佐天さんこれでも食べて機嫌を直してくださ」
「おーいーしぃ!!さすが有名チョコメーカー!」
早い!そして機嫌が直ったかのように普段通りの活発な女子へと早変わりする。
佐天がチョコに夢中になっている間にサソリは中断していた筋トレを再開していた。
腹筋をしていくが腕には点滴の管が付いており、時折、鬱陶しそうに睨み付ける。
腹筋が終われば、身体を起こして柔軟体操をする。
「ちっ!!大分鈍っているな。嫌になる」
舌打ちをかましながらも両足に腕が苦も無くペタッとくっつくことには二人は一種の羨望の眼差しで見やる。
「サソリさんは、身体が柔らかいのですね」
「こんなもん普通だろ。硬かったら負けだ」
一通り体を慣らすとベッドから起き上がり、壁に向かう。
「さて……ボツボツ始めるか」
何やら印を結んでいるサソリに「何すんの?」と佐天が聞く。
「チャクラの制御、ちょっとこれ持ってろ」
と言うと点滴台を佐天に向かって差し出す。
「お、おう」
と佐天が応じて、握るが疑問符を初春に投げかける。
「おし」
サソリは、印を結んでいた指を離して壁に右足の底をくっつけると吸盤にでも張り付いたかのように吸い付いて、左足も壁へとくっつけて普通に歩くように病院の壁をスイスイと垂直に上って行った。
「え、えっ!?どうなって!!」
「ふう、大分戻ったな。もう少し訓練は必要だが」
図らずも二人を見下ろす形となったサソリだが、唖然と口を開けている二人に首を傾ける。
「どうした?」
「それこっちのセリフ……まるで忍者みたい」
「忍だぞ……チャクラを足の裏に集めて吸着させている」
涼しい顔で答えるサソリ。一人重力を無視した佇まいに一同が冷や汗をかいていると……
「サソリさーん!そろそろ検温のお時間です……よ」
常識では考えられない姿勢(垂直に壁を二足歩行で登っている形)の受け持ち患者に看護師の顔がドンドン引きつっていくのが傍目からも理解できた。
「あっ……」
「サ・ソ・リ・さ・ん!!大人しく横になっていてくださいとあれ程言ったじゃないですか」
「一応、横になっているが。規則に壁に垂直に上るなと書いてないし」
「常識的に考えてありえないからですよ。登らないで降りてきなさい」
サソリは注意を無視してヒョイヒョイと壁を登り、とうとう天井までやってきて三人を見下ろす。
「降りたら怒られるのに、誰が大人しく降りるか」
子供のように腕を組んでプイと横に向くサソリ。
すると、左腕に付いている点滴の管から血が逆流し始めて、サソリの身体から血の気が失せていくのが見て取れる。
「ん?」
サソリは貧血となりチャクラの制御がままならぬよ
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