第9話 変化する朝
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うわぁあああああん!!」
何故か泣きながら戻ってきた大河に、弁当箱を持った士郎が台所から現れた。
その弁当を泣いたままの大河が掠め取り、また泣きながら出て行った。
そんな大河を見送った士郎は嘆息しながら百代を見ずに言う。
「こんなのは何時もの事だから気にするな」
「・・・・・・・・・・・・」
そんな事言われてもこの微妙な空気の中で何を言えばいいのかと戸惑っていた百代は、取りあえず喋らない事を選択するのだった。
因みに、藤村組特別相談役で衛宮邸の居候の部屋は、防音結界が作動してあるので実に静かだった。
−Interlude−
朝食を食べ終わった百代は、道着姿のままなので帰ろうとした処に士郎に玄関で呼び止められた。
「何だよ、衛み――――っ、五百円?」
振り返った百代に、士郎に投げられたコインを反射的に容易く取ると、それは五百円だった。
「ツケの払いだからホントは渡す必要なんて無いんだが、一応バイト料だ」
「・・・・・・・・・・・・」
五百円とは言え、金が手元に来ることなど期待してなかった百代は、嬉しさよりも驚きから抜け出せずにいた。
「因みに、ダラダラしないでちゃんと完了させてれば、その五百円に加えて野口英世も一枚付けようとしてたんだがな」
「なっにぃいい!?」
だがすぐさま復帰した。
その百代の反応に士郎は朝からもう何度目かの溜息をつき、彼女の手に今度は弁当を渡す。
「何だこの弁当は?」
「見ればわかるだろ?川神の分さ」
「だから如何して私に弁当を渡す?」
「そうすれば昼食代だって浮くだろ?これであっという間に5百円使ってまたいろんな誰かに金借りてたら、何時まで経っても変わらないしな」
「有り難いけど、言わせてもらう。お前は私の保護者か?」
嫌味とかじゃなく、純粋な質問だった。
これに対して士郎は素で言う。
「そんなつもりなど無いけど。これで川神の悪癖の1つが解消されるなら、安いモノだと思ってる」
「・・・・・・・・・」
ホントに皮肉も含みも無かったが、面と言われた百代が黙る。
「あと、今日のメニューは全部俺が決めたが、おかず・・・・・・肉料理ぐらいは何かリクエストがあれば聞くぞ?」
「如何してそこまでしてくれるんだ・・・・・・。まさか今度こそホントに私の体目当てか!?」
「我慢ばかりしてもストレスたまるばかりで、お前の悪癖を悪化させないためだ」
百代の冗談と大げさな反応に、取り合う事も見せずに士郎は真面目に答えた。
そしてスルーされた百代は頬を膨らませるも、有り難い事には変わらないので、その提案を受け入れる事にした。
けれども、今の百代は予測できて
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