第9話 変化する朝
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そして残念なことに否定しきれなかった百代は、悔しそうに言い返す。
「だ、だったら、何の用があるって言うんだ!」
「朝食が出来てるが、家で食ってくか、帰って食べるか選んでもらおうと思ってな」
そろそろいい時間だろと言外に士郎は告げる。
そんな士郎に何の邪気も無いと理解した百代は、気恥ずかしさを覚えながらも断る理由も無かったので受け入れる事にする。
「食う」
「なら早く来てくれ。藤姉・・・・・・元武道四天王の冬木の虎って呼ばれていた藤村大河が、朝食を待ちわびてるから」
「大河さんが?・・・・あー、衛宮と一緒に食ってるんだったか?」
「そう言う事」
2人の加減なしの歩く速度は速いので、話しているあっという間にも居間に到着していた。
「遅いわよ!士郎!」
「悪かったよ。でもアルバさんも来てないだろ?」
大河は藤村組内では魔術の事など知らない側なので、彼女の前でスカサハの名を呼ぶときはアルバとなる。
「そうなのよね。今朝も食べる気は無いみたいよ・・・・・・って、百代ちゃんじゃない!」
漸く百代の存在に気付いた大河は、大げさに驚く。
元武道四天王である彼女は何時もならすぐに気づけるのだが、空腹時になると前後不覚になり気配を読み取る等のスキルが機能させられなくなるのだ。
「おはようございます、大河さん。お久しぶりですね」
「ホント久しぶりね〜」
「ほらよ川神、藤姉ぇも」
挨拶しあう2人に、炊飯器からよそったご飯を横から差し出した。
「待ってたわ〜・・・・・・って、ん?」
「はい?」
「・・・・・・・・・・・・」
未だに前後不覚状態に陥っている大河だったが、ある疑問が彼女の頭の中で整理し始めて来ていた。
「えっと、えっと・・・・・・ん?」
「如何したん――――」
「川神、耳塞げ」
「はぁ?何でそんな事――――」
簡潔過ぎる士郎の言葉に、百代は疑問を挿んだ。
「いいから。そろそろ来るぞ」
「?――――何なんだ・・・」
相変わらず言葉の足らない士郎に促されて、取りあえず従うように士郎と同じく両手の人差指で自分の耳を塞いだ。
そして遂に、決壊する。
「―――――って、如何して!百代ちゃんが!!こんな朝っぱらから!!!衛宮邸にいるのよぉおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
冬木の虎の、大・咆・哮。
「っっっ〜〜〜〜!?」
「・・・・・・・・・・・・」
あまりの強烈な騒音に、流石の百代も実に煩そうに耐えていた。
士郎としては久しぶりではあるが慣れたものなので、無心状態で耳を塞ぎ続けている。
冬木の虎の大咆哮は、
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