マブラヴ
1224話
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よりも確実に美味いこの春巻き。
俺の言葉に、星刻はしっかりと味わうように春巻きを食べていく。
そうして全部食べ終わると、感嘆の表情を浮かべて俺の方へと視線を向ける。
「やはりこの奥深い味はささみが原因だな」
「いや、だからささみは具のどこにも……」
「違う」
俺の言葉を最後まで聞かず、斬り捨てるように呟く星刻。
その目に浮かんでいるのは……悔しさか?
まぁ、国名は変わってはいるが、陽光がギアス世界での中華料理の本場というのは変わらない。
そうである以上、春巻きを食べて美味いと感心してしまったのは悔しかったのだろう。
「具じゃない。皮だ。この皮に鶏のささみが使われている」
「……皮に?」
星刻の言葉は思い切り俺の意表を突く。
改めて春巻きを見るが、普通の春巻きの皮のようにしか見えない。
「これがささみ?」
「ああ。……多分だが、ささみを片栗粉か何かにまぶしながら叩いて薄く伸ばして皮にしたんだろうな。それが小麦粉で作った春巻きの皮と一線を画すような味を生み出しているんだろう。普通に食べているだけでも十分にその違いは理解出来る。……この春巻きを作った者の腕は凄いな。それこそ天子様のお抱え料理人になって欲しいくらいだ」
「そこまでか」
この場に用意されている中華という事で、当然これを作ったのは超包子の四葉だ。
腕を上げているとは思っていたが、それでもこれ程の評価を受けるとは思いも寄らなかった。
「ああ。この料理人の腕は素晴らしい。他の料理にしても、非常に細かいところまで手を加えている。……シャドウミラーというのは、人材がゴロゴロとしているな」
感心したように呟き、他の皿の料理も味わっていく。
……うん、それは分かる。
シャドウミラーの代表としても嬉しいんだが、料理を味わっているけど……お前、俺に何か用事があって来たんじゃなかったのか?
星刻の様子に思わず苦笑を浮かべ、そう思ってしまうのはしょうがない事だったのだろう。
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