Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 30. I am always with you
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例外として。
「ンじゃ、今後の作戦立案といくカ」
「うん」
私は気を引き締め直してアルゴと向き合い、「一護骨抜き大作戦」の続案作成へと思考を切り替えていった。
◆
結論から言って、作戦は失敗に終わった。
誕生日の朝、起きてみると一護の姿がなかった。
残されていたメッセージには「急用が出来たから出かける。夕飯で合流しよう」とだけ書かれていた。誕生日については、一言も触れていない。
何もする気になれず、けどこのまま引き籠っていると余計に落ち込む気がして、私は外に出た。
気晴らしにどこかのダンジョンにでも潜ろうかと考えたけど、気が乗らない。特に何も考えず転移門広場へと進み、パッと思いついた二十二層の主住区へと飛んだ。
閑散とした転移門広場から出ると、辺りには森と湖が広がっていた。蒼天に燦然と輝く太陽の光が湖面で乱反射し、私の仮想の網膜を灼く。
その痛みに近い光を無感動に眺めてから、私はどこへともなくポツポツと歩き始めた。
まだ、まだ忘れているとは限らない。
夕飯から寝るまでに四時間くらいはあるし、もし今は忘れてるとしても、日中に思い出してくれるかもしれない。そう考え、沈んでいく自分の心を慰撫する。
けど同時に、心の奥底でどこか諦めというか、ああやっぱりな、って気持ちもあった。
この四か月、一護の気を引こうと思いつく限りのことをしてきた。一護が少しでも私に異性として興味をもってくれるなら、そう思い、一日も欠かさず寄り添って来た。
それでも彼が一向に私に気を向けないのは、多分、その心の内が、強くなること、この世界から出ること、それだけに埋め尽くされているからだと思う。ただ高みを目指す、その過程に、恋愛なんてものが存在するはずはない。
だったら、一護が恋愛沙汰に無関心なのも理解でき――いや、この考えは、現実逃避だ。根本的な原因は、もっと違うところにあって、もっともっと単純なもの。
「……私に、魅力がないから、だ」
ただ、それだけなんだ。
一護に好かれるだけの容姿が、性格が、力が、心が、私にはないんだ。私が彼の恋人に相応しくない、どころか、寄り添うに足る器がない。
私の中で彼が一番大きくても、彼の中で私は一番ではない。ただそれだけのこと。ごく単純な真理。
たかが誕生日を忘れられただけで、たかが努力が半年弱報われていないだけで、何を大袈裟な。いつも心のどこかにいる、冷静な自分がそう吐き捨てる。でも同時に、もう何をやっても無駄だ、私じゃ彼には釣り合わない、そう叫ぶ声も聞こえる。
初めての恋が破れる。ぼんやりと見えているその未来に心が軋みを上げているのが、意識しなくても分かった。
いっそもう告白して、フラれ
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