Chapter 5. 『あんたを倒して俺は帰る』
Episode 30. I am always with you
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拾う余裕はなさそう。
「は、ハハ、ジョークだヨ、リっちゃん。オネーサンのお茶目なジョーク……ハイ、スミマセン」
「次言ったら、斬るから」
手の内でくるりと半回転させ、腰の鞘に納める。
寸止めの刃から開放されたアルゴは、止めていた息をぷはっと吐き出した。
以前リズに似たようなことを、しかも一護の前で言われた時は、短剣の先でこめかみを抉る「ナイフグリグリの刑」を執行した。あの時は本当に顔から火が出るかと思うくらいに恥ずかしかった。
一旦気を落ち着けるべく、大皿に山と盛られたお菓子を摘む私の向かいで、アルゴは新しいワインの封を切りながら、少し口を尖らせるようにして言った。
「ったくモー、リっちゃんって、ベリっちに下着見せんのも、バスタオル巻きで混浴も行けても、ナンデ裸はダメなんダ? そこまでできたら、もう一糸すら纏わなくても変わんネー気がするケド」
「は、裸だけは、ちょっと、その、流石に恥ずかしい……」
「オレっちが貸した、アノ際どい黒下着は着たのにカ?」
「……やっぱり、斬られたい?」
「ちょ、ちょいタンマ!! 謝るからその短剣しまってクレ怖いカラ!!」
半身まで抜いた短剣を見せつけると、アルゴは慌てて両手を合わせて即謝罪。キッと一睨みしてから、再び納剣する。
「けどサ、リっちゃん。このままじゃベリっちと友人止まりだゼ? この仮想の世界でアイツの心は護れても、それが現実で恋心に成長するとは限らナイ。
二人きりの時間がいくらでも作れるこの世界にいるうちに、せめて何か恋に発展しそうなきっかけの一つでも作っておかねーとサ」
「……ん、分かってる」
真面目な顔つきに戻ったアルゴの言葉に、私も短く肯定を返す。
彼女の言う通り、一護と恋仲になるには今のままじゃダメだ。彼が何を好き、私に何ができるのか、それを考え続けないといけない。
今思いつくきっかけは、一つだけ。
十日後に迫った、十月三十一日。私の誕生日だ。
去年は、自分で一週間前から催促してた。一護は鬱陶しそうにしていたけど、なんだかんだで当日に高級素材の料理を御馳走してくれたし、綺麗で実用性のあるレア装備もプレゼントしてくれた。
お返しに、この前の彼の誕生日にはお揃いのデザインを施したガントレットを渡した。ペアルックがどうのこうのと言いながらも、翌日からちゃんと付けてくれてた時は、すごく嬉しかった。
今年はなんとなく気が引けてしまったため催促してないから、もしかしたら忘れられてしまうかもしれない。
今まで支えてあげたんだからご褒美ちょうだい、なんて図々しいことは言わないけど、もし覚えていてくれたなら、何かくれるかもしれない。その時に頑張って攻めて、距離を縮める。そのためには手段は選ばない……ハダカは
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