第36話 零治の過去
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とも無くなりました。
その謎は一向に分からないまま、月日だけは流れていきました。
そして、中1の春、初めて同じクラスになることが出来ました。
今までは遠くから見るだけだったので、私は直ぐに行動に出ました。
「ノート貸そうか?」
これが零治君と初めて顔を見て話した瞬間でした。
最初こそ無視されたり、流されたりしましたが、しつこく話している内に少しづつ話すようになりました。
そして今に続きます……………
「ふう………」
トイレから帰ってきて、教室に入りました。
時間は放課後。なので教室には誰もいないと思っていましたけど、1人いました。
「どうしたの、零治君?」
「……………神崎組から逃げてた」
よく見ると制服の所々が汚れていました。
また追いかけられてたんだね………
「ったく俺も用事があるのに……………」
「ねぇ、零治君」
「ん?」
ちょうどいい機会だと思い、私は思いきって聞いてみることにしました。
「何で小学3年生の時、あんな死んだ魚の様な目をしていたの?」
それを聞いて少し驚いた顔をしてましたが、直ぐに表情が元に戻りました。
「………………見てたのか?っていうか死んだ魚の様な目って………」
「でもそういう風に見えたから………」
「まあそれは別にいいとして………何で知ってるんだ?すずかと面識あったっけ?」
「零治君が覚えてるか分からないけど、中庭で寝ていた時、声をかけた女の子って私なんだ」
「………そうか」
そう言って黙ってしまう零治君。
しばらく無言の時間が過ぎて、零治君が口を開きました。
「俺にとって、あの3年生の1年は凄く意味のある年だったんだ。今までの生きてきた時間を覆すような………」
零治君は思い出すように話してくれました。
「3年生のあの時、俺は一つの目標と言うか目的があったんだ。それは俺が生きてきてずっと待っていた事でもあったんだ。だけど、タイミングを逃して俺はそれを逃してしまった………それで俺は希望と言うか、生きることがどうでも良くなったんだ」
「そんな……………まだ3年生なのに?」
「それでもだ。それくらい意味のある事だったんだ……………だから後はただ毎日が過ぎていくだけだった」
「だからあんなに死んだ魚の様な目を…………」
「………本当にそんな目してたか俺?………まあでもな、そんな時に俺の前に星達が現れたんだ。ほっとけなくて助けたんだけど、全然世間の事を知らなくてな。面倒見るのに必死だったよ」
「だから帰りが早かったんだ」
「ああ、じゃないと何されるか分からなかったから。特にライなんかはいたずらばかりしていたし」
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