第二十話 二学期その九
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「そうだけれど」
「けれど他の人から見たら違う場合もあるのよ」
「それはわかってるけれど」
「だったらいいけれどね」
何か引っ掛かる言い方をされました。わかっていたらいいけれど、って。私はわかっています、だからこそ言うんですけれど。
「ちっちみたいに長池先輩にいつもよくしてもらってる人もいれば」
「怖い人って思う娘もいるし」
「酷い目に遭わされた人だっているのよ」
「その人が悪くてもなのね」
少し反論みたいに言いました。
「それでもなのね」
「幾らその人が悪くてもやり過ぎはよくないわよ」
「流石に校門のところで何人も連れて待っていて陰口言ったり神殿のところで階段の上から怒鳴ったりしたらやり過ぎでしょ。しかも他にも色々やって何回もだそうだし」
「先輩が。そんな」
これは私だって酷いと思いますけれど。先輩がそんなことされたなんて考えられないですしそういうことをすれば当然自分にも返るものだっていうのはわかります。それでも。
「いんねんは返るものよ、自分にね」
「そして人には色々な顔があるのよ」
「色々な顔が」
「ちっちだってそうよ」
不意に私にも話が振られました。
「私も?」
「だから誰にもなのよ」
「当然ちっちだって」
「そうよね、やっぱり」
わかっているつもりでしたけれどあらためて言われると。それを自覚しないではいられませんでした。それで心がかなり苦しくもなります。
「私も。やっぱり」
「かといって落ち込む必要もないけれどね」
「落ち込む必要はないの」
「だって。落ち込んでも仕方ないじゃない」
「そうそう」
皆から言われます。
「それより前向きにいかないと」
「それが陽気暮らしじゃない」
「それはそうだけれど」
「だから明るくね」
「ちっちは明るいんだし」
これはいつも言われます。私は明るいって。確かにそうかも。
「スマイル満開ってね」
「笑って笑って」
「笑うかどには何とやらよ」
「そうよね。それはね」
私も今の言葉を聞いて笑顔になります。笑うのなら。
「何時でも笑って」
「そうすれば男の子もゲットできるわよ」
「だから何で男の子なのよ」
今の言葉には口を尖らせてしまいました。
「私はお付き合いするのなら旦那様になる人とだけよ」
「相変わらずそんなこと言って」
「ちっちってそういうところはお固いんだから」
「別にいいじゃない」
それを言われるとどうも困りますけれど。
「いい加減にお付き合いするのよりは」
「まあそうだけれどね」
「それでもちっちはそういうところ真面目過ぎるのよ」
言われっぱなしです。どうにもこうにも。
「彼氏いない暦十五年?」
「もうすぐ十六年?」
生まれてから彼氏なんて人がいたことはないです。やっぱり一生
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