第二十話 二学期その七
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「あの奇麗な人よね」
「そうだけれど。長池先輩なのね」
「軟式野球部の人と付き合っていてマネージャーもやっていたけれど別れてね」
「それでなのね」
「ええ。大変だったらしいわよ」
この話は何度か聞いています。高井先輩も仰っていましたけれど。
「もう教室で凄い泣いてそのまま早退して」
「そうだったの」
話がわかりました。その結果だったんですね。先輩が時々悲しい顔をされたりもするのも。あんなに奇麗で優しい人なのに失恋するなんて。
「立ち直るのに随分かかったんだって」
「それでもね」
「それでも?」
「ある程度は自業自得だっていう人もいたわ」
「何よ、それ」
今の言葉はかなり腹が立ちました。先輩が失恋して落ち込んでおられたのにそれでそんなことを言う人がいるなんて。とても許せないです。
「先輩が酷いことになったのに自業自得って。そんなのないじゃない」
「だからちっち」
寮生の娘の一人が私に対して言ってきました。
「何よ」
「こういうこともいんねんよ」
「いんねん!?」
「あとほこり」
またこのお話になりました。
「その二つが影響するからね」
「それで先輩はそうした目に遭ったっていうの?」
「そういうことじゃないかしら」
「嘘よ」
私はすぐにそれを否定しました。そんなことは有り得ないと思って。
「あの先輩に限って」
「それはどうかしらね」
「そうよね」
けれど皆は私にこう言ってきました。かなり懐疑的な顔で。
「本当のところはわからないわよ」
「わからないって」
「ほこりもそうだけれどいんねんは特にそうじゃない」
「そうじゃないって?」
「自分では中々気付かないものよ」
こう言われました。
「私にもあるし多分ちっちにも」
「私にはそりゃあるでしょうけれど」
先輩みたいに立派な方にほこりやいんねんがあるなんて。しかもかなり深刻なものが。とても信じられないんですけれど。
「先輩は」
「だから。落ち着いて考えてみてよ」
「じっくりとね」
「じっくりとって」
皆に言われてもまだ納得できません。それが顔にも出ていて苦い顔になっているのが自分でもよくわかります。けれど。
「ほら、長池先輩が怖いって意見結構あるよね」
「ええ」
今までは全然聞いていなかったですけれどそれでも。今は凄い実感できます。
「あの人ね、一年の頃って結構酷かったらしいのよ」
「酷いって」
「トラブル起こした相手に神殿で階段の上から怒鳴ったりとか学校の玄関で友達と何人も待ち伏せてそれで陰口みたいに言ったりとか」
「えっ・・・・・・」
何があったか知りませんけれどそれはかなり。きついなんてものじゃありません。あの先輩がそこまで酷いことをされるなんて。
「そういうこともあったらしいわ」
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