4部分:第四章
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第四章
その彼を見てだ。王単は言うのだった。
「あのお祓いの札等は」
「今回は不要です」
「桃の木剣もですか」
「はい、それもいりません」
「では経を読まれるのですね」
「それもしません」
否定の言葉を続ける魏参だった。
「ですがそれでもです」
「大丈夫なのですか」
「はい、御安心下さい」
王単に応えながらだ。扉を見てだ。
その扉に手をかけてだ。彼は一気に開けた。するとそこにあったのは。
褥がありその上でだ。新がいた。
彼女は一糸まとわぬ姿だった。そしてその姿でだ。同じく一糸まとわぬ姿の可愛らしい娘と抱き合っていた。その二人を見てである。
彼はだ。こう言うのだった。
「やはりこうでしたね」
「あの、これは一体」
「つまりです。娘さんには何も憑いていなかったのです」
そうだったというのだ。
「全ては狂言で」
「しかし何故新と娘が」
「二人は愛し合っていたのです」
「女同士で、ですか」
「男同士でもそうした間柄はありますね」
「ええ、まあ」
このことは王単も心当たりがあった。長安でかなり流行っているが洛陽でも所謂男の妓がいるのだ。奇麗な少年がそれになる。
それを知っているからだ。王単もそのことには頷けた。
「それですか」
「はい、それと同じです」
「娘と新はできていたのですか」
「簡単に言えば」
「そしてそれを隠す為に」
そのだ。抱き合う二人を見て話す。二人は唖然とした顔で褥の上で覆い被さったまま固まっている。何が起こったのかわかっていない顔だった。
「娘は憑きものにかかったふりをして」
「新さんと部屋で二人きりになりましたね」
「新がどうしてもと言うので」
「だからですよ」
こうだ。魏参は述べた。
「それが狙いだったのですよ」
「そうだったのですか」
「まあ真相がわかればですね」
「どうということはないお話ですが」
「後はです」
真相を突き詰めたうえでだ。魏参は王単に述べた。
「御主人がどうされるかだけです」
「まあ。確かに驚いていますが」
どうかとだ。彼は言うのである。
「それでもです」
「それでもですね」
「嘘を言って演じたことはいけません」
このことはだ。彼も厳しい顔で言う。
「ですがそれでも」
「それでもですか」
「まあ。夫は一人でなければいけません」
王単が最初に言ったのはこのことだった。
「それは絶対です」
「しかしですね」
「女同士はいいです」
懐の深いところをここで見せる彼だった。
「それはいいでしょう」
「そう思われるのですね」
「ええ。何はともあれ騒動は終わりですね」
「はい、これで全ては」
魏参はこう王単に答えた。娘二人はその間にあたふたと服を着てだ。そのうえで褥の上で
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